FIT SYSTEM
「FIT制度って何?売電ってどういう仕組み?」
太陽光発電を調べていると必ず出てくる「FIT」という言葉。正式名称は「固定価格買取制度」。ざっくり言うと、「あなたが作った電気を、国が決めた価格で、電力会社が買い取ってくれる」制度です。
この制度があるからこそ、太陽光発電は「投資」として成立する。仕組みを知らずに契約するのは、ルールを知らずにゲームを始めるようなもの。理解しておかないと、見積書の数字も業者の説明もピンとこないはずです。
この記事では、FIT制度の仕組み、2025年度の売電価格、そして10年後にFITが終わった後どうなるかまで、順番に解説します。
SECTION 01
FIT制度の仕組み【3つのポイント】
FIT制度(Feed-in Tariff)は2012年にスタートした国の制度です(資源エネルギー庁 FIT制度の概要)。再生可能エネルギーの普及を目的として作られました。
ポイントは3つだけ。
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1
国が買取価格を決める
毎年度、経済産業省の「調達価格等算定委員会」が買取価格を決定します。この価格は年度ごとに見直されるため、申請した年度の価格が10年間適用されます。
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2
電力会社が買い取る義務がある
電力会社は、FIT認定を受けた発電設備からの電気を拒否できません。買い取り義務があるので、「売れない」というリスクはゼロ。これは大きな安心材料です。
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3
住宅用は「余剰売電」方式
10kW未満の住宅用太陽光発電は「余剰売電」。自分で使って余った分だけを売るルールです。全量を売ることはできません。だから「自家消費+余剰売電」のハイブリッドで考えるのが基本。
FIT制度の財源は?
FITの買取費用は、すべての電気利用者から「再エネ賦課金」として徴収されています。毎月の電気代の明細に「再エネ発電促進賦課金」という項目がありませんか?あれがFITの財源です。つまり、太陽光発電を設置していない人もFITの費用を負担している。設置する側からすれば、「払っている分を取り戻す」という見方もできます。
SECTION 02
売電価格の推移【2012〜2025年度】
FIT制度の売電価格は年々下がっています。これを見て「今さら遅い」と感じるかもしれませんが、実はそう単純な話ではありません。
| 年度 | 売電価格(住宅用10kW未満) | 備考 |
|---|---|---|
| 2012年 | 42円/kWh | FIT制度スタート |
| 2015年 | 33円/kWh | |
| 2018年 | 26円/kWh | |
| 2020年 | 21円/kWh | |
| 2022年 | 17円/kWh | |
| 2024年 | 16円/kWh | |
| 2025年度 | 16円/kWh | (経産省公表) |
42円から16円。確かに大幅に下がった。
でも、ここで立ち止まってほしい。同じ期間に設置費用も大幅に下がっているという事実を見逃していませんか。売電価格だけを見て「もう遅い」と判断するのは、片方の数字しか見ていないのと同じです。
売電価格が下がっても損しない理由
ここが多くの人が勘違いするポイント。売電価格と設置費用はセットで見る必要があります。
| 年度 | 売電価格 | 設置費用(kW単価) | 投資回収の目安 |
|---|---|---|---|
| 2012年 | 42円/kWh | 約46万円/kW | 約10年 |
| 2018年 | 26円/kWh | 約30万円/kW | 約10年 |
| 2025年 | 16円/kWh | 約26万円/kW | 約8〜10年 |
投資回収年数はほとんど変わっていない。むしろ、電気代の高騰で自家消費のメリットが増した分、2025年の方がトータルでは有利とも言えます。
さらに、2025年の電気料金は30円/kWh前後。売電(16円/kWh)するより自家消費(30円/kWh分の節約)した方がお得。つまり今は「売電で稼ぐ」時代から「自家消費で節約する」時代にシフトしています。
電気工事士の視点
「売電価格が下がったからもう遅い」——この相談、本当に多いんです。でも数字を見せると皆さん「あれ?」ってなる。2012年は確かに42円で売れたけど、設置に230万円かかった。今は16円だけど、設置は130万円で済む。しかも電気代が上がっているから、自分で使った方が得。結論、始めるタイミングとしては今が一番バランスがいいと思います。
SECTION 03
FIT認定の申請と手続きの流れ
FIT制度を利用するには「事業計画認定」を受ける必要があります。とはいえ、申請は基本的に業者がやってくれるので、ご自身で難しい手続きをする必要はありません。
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1
業者と契約する
見積もりを比較し、業者を決定。契約を結びます。
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2
FIT認定を申請する
業者が「事業計画認定」を経済産業省に申請。認定が下りれば、申請年度の売電価格が10年間適用されます。
-
3
電力会社と接続契約を結ぶ
業者が電力会社に系統連系(電力ネットワークへの接続)を申請。
-
4
設置工事・系統連系
工事完了後、電力会社が接続を確認。ここから売電がスタートします。
年度末は要注意
FITの売電価格は年度ごとに変わるため、年度末(3月末)に近い時期の申請は注意が必要です。申請から認定までに1〜3ヶ月かかることがある。2月〜3月に契約すると、次年度の(今より安い可能性がある)価格になってしまう場合も。早めの行動がおすすめです。
SECTION 04
「卒FIT」とは?10年後にどうなる?
FITの買取期間は10年間。これが終わった状態を「卒FIT」と呼びます。2019年には、2009年にスタートした旧制度の卒FIT世帯が大量に出たことで話題になりました。
卒FIT後の売電価格
FIT期間が終わると、固定価格での買取は終了。その後は電力会社と個別に契約を結んで売電を続けることになります。
卒FIT後の買取価格は8〜9円/kWh程度が一般的(東京電力の卒FITプラン例)。FIT期間中の16円/kWhと比べると、約半分。
卒FIT後の3つの選択肢
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1
自家消費にシフトする(おすすめ)
売電価格が下がっても、自家消費なら30円/kWh相当の節約になる。蓄電池を導入して自家消費率を上げれば、卒FIT後もメリットは大きい。最も経済的な選択肢です。
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2
電力会社と新たな売電契約を結ぶ
8〜9円/kWhと安くはなるが、売電を続けることは可能。何もしなくても自動的に電力会社の買取プランに移行するケースが多いです。
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3
新電力やアグリゲーターと契約する
大手電力会社より高い買取価格を提示する新電力もあります。条件は会社によって異なるので、卒FIT前に比較するのがおすすめ。
結論としては、卒FIT後は「蓄電池+自家消費」が最強。売電に頼らなくても、自分で作って自分で使えば電気代はかなり抑えられます。
ちなみに、卒FITを「デメリット」として語るサイトもありますが、冷静に考えてみてください。10年間も国が価格を保証してくれた上で、11年目以降もパネルは発電し続ける。パネルの寿命は25〜30年以上。つまり卒FIT後の15〜20年間も、自家消費で毎年数万円の電気代が浮く。これのどこがデメリットなのか、という話です。
電気工事士の視点
卒FITを迎えたお客様から「蓄電池を付けたい」という相談が急増しています。FIT期間中は売った方が得だったけど、卒FIT後は使った方が得だから、当然の流れですよね。最近は太陽光と蓄電池をセットで最初から導入する方も増えました。10年後の蓄電池の価格はもっと下がっている可能性もあるので、「今は太陽光だけ、卒FIT前に蓄電池を追加」という戦略もアリだと思いますよ。
SECTION 05
FIP制度との違い
2022年4月から、FIT制度に加えて「FIP制度」(Feed-in Premium)が始まりました。名前が似ていてややこしいですが、住宅用にはほぼ関係ありません。
| FIT制度 | FIP制度 | |
|---|---|---|
| 対象 | 住宅用(10kW未満)中心 | 産業用(50kW以上)中心 |
| 価格 | 固定価格 | 市場価格+プレミアム(上乗せ分) |
| 特徴 | 安定・予測しやすい | 市場連動で変動あり |
| 住宅への影響 | 直接該当 | ほぼ関係なし |
住宅用(10kW未満)は引き続きFIT制度の対象。FIP制度は大規模な発電事業者向けなので、一般家庭の方はFITだけ理解しておけばOKです。
難しい話に見えますが、住宅用に関しては実にシンプル。「余った電気を、国が決めた価格で、10年間売れる」。それだけです。
SECTION 06
よくある質問(FAQ)
SUMMARY
まとめ
- FIT制度は国が売電価格を保証する制度。住宅用は10年間固定
- 2025年度の売電価格は16円/kWh
- 売電価格は下がったが、設置費用も下がった。回収年数はほぼ同じ
- 今は「売電で稼ぐ」より「自家消費で節約する」時代
- 卒FIT後は蓄電池+自家消費にシフトするのが最善策
- FIP制度は産業用。住宅用はFITだけ理解すればOK
FIT制度は「太陽光発電の収益を保証してくれる仕組み」。この制度があるからこそ、安心して投資できる。ただし、売電価格は今後も下がる可能性がある。始めるなら早い方がいい——これは間違いないです。
電気工事士 緒方より
FIT制度は毎年見直されるので、「来年はもっと下がるかも」と迷って先延ばしにする方がいます。でも、先延ばしにした1年分の電気代削減+売電収入は戻ってきません。年間10万円以上のメリットがあるなら、1年遅れれば10万円の機会損失。「今年度の価格で確定させる」ことが、結果的に一番お得だと現場では感じています。
