情報確認日:2026年8月13日
ソーラーシェアリングは、農地で営農を続けながら、その上部空間で太陽光発電を行う仕組みです。農林水産省では「営農型太陽光発電」と呼ばれています。
下部農地で適切に営農を続ける計画を立て、支柱等について農地法に基づく一時転用許可を受けることが基本です。発電設備の計画より先に、「その農地で営農を継続できるか」を確認する必要があります。
農林水産省の公開情報では、営農型太陽光発電は、簡易な構造で容易に撤去できる支柱を農地に立て、その上部へ発電設備を設置しながら営農を継続する取組とされています。
発電電力は売電だけでなく、農業施設等で自家利用する方法もあります。ただし、FIT・FIPの利用条件や収益性は、設備規模、認定年度、系統接続、農地転用許可などによって変わります。
ソーラーシェアリングと一般的な野立て太陽光の違い
| 比較項目 | ソーラーシェアリング | 農地を通常転用して設置する太陽光 |
|---|---|---|
| 農地の使い方 | 下部農地で営農を継続する | 農地としての利用をやめて発電設備用地にする |
| 農地法上の考え方 | 支柱等について一時転用許可を受ける | 農地全体の転用許可等を確認する |
| 設備設計 | 農作業・日照・作物の生育への影響を考慮する | 発電設備としての設計が中心 |
| 営農 | 発電事業中も適切な継続が必要 | 転用部分で営農を続ける仕組みではない |
| 許可後 | 栽培実績・収支の報告などが必要 | 営農型特有の栽培実績報告はない |
「農地を太陽光用地へ変える」のではなく、農地として使い続けながら上部空間も利用することが、ソーラーシェアリングの基本です。
2024年4月から一時転用の許可基準が法令・ガイドラインで明確化
営農型太陽光発電の制度は2013年から運用されてきましたが、2024年4月1日から、それまで通知で定められていた一時転用の許可基準等が農地法施行規則に位置付けられ、新たなガイドラインも施行されています。
背景には、発電を優先するあまり、パネルの下で十分な営農が行われていない事例が確認されてきたことがあります。
発電事業だけを目的にして農業を形式的に続ける制度ではありません
一時転用許可を受けた後も、下部農地で適切に営農を継続することが前提です。これから計画する場合は、現在の農地法施行規則とガイドラインに沿って検討します。
一時転用許可は3年以内または10年以内
許可期間はすべての農地で同じではありません。農林水産省が2026年3月に改訂した実務用Q&Aでは、適切な営農継続が見込まれることを前提に、一定の条件を満たす場合は10年以内、それ以外は3年以内とされています。
| 許可期間 | 主な考え方 |
|---|---|
| 10年以内 | 担い手が自ら所有する農地または使用・収益する権利を持つ農地等を利用する場合、遊休農地を再生利用する場合(再許可時を除く)、第2種農地または第3種農地を利用する場合など |
| 3年以内 | 上記の10年以内となる条件に該当しない場合 |
10年は「自動的に認められる期間」ではありません
農地・営農者・権利関係・営農計画などを確認したうえで許可されます。また、期間満了後も事業を続ける場合には、新たな許可が必要になります。更新時期が近づいてからではなく、早めに農業委員会等へ相談しておく方が安全です。
作物とパネル配置は「遮光率○%」だけでは決められない
ソーラーシェアリングでは、パネルの下でも作物を育てられるよう、日照を確保する設計が必要です。
作物の生育に必要な日照量を確認し、その日照を確保できるよう、パネルの角度・間隔・枚数などを設計します。
栽培できる作物に一律の制限はない
農林水産省の2026年3月Q&Aでは、下部農地で栽培する農作物自体に一律の制限はないとされています。
ただし、その地域で通常栽培されていない作物や、収穫まで長期間を要する作物などでは、知見を有する者の意見も踏まえ、適切な営農を継続できる計画か慎重に確認されます。
収量の「8割」はどう考える?
収量で営農状況を確認できる作物では、同じ年の地域の平均的な単収と比べて、おおむね2割以上減少するおそれがないかが判断材料の一つになります。
一方、台風・低温など発電設備以外の原因で地域全体の収量が落ちている場合や、有機農業など栽培方法が異なる場合には、その事情も踏まえて確認されます。
支柱の高さと農作業への影響も確認する
営農型太陽光では、発電効率だけで架台を設計することはできません。農作業を継続できる高さや間隔を確保する必要があります。
農林水産省の現在のQ&Aでは、農業機械を効率的に利用でき、機械を使用しない場合でも農業者が立って作業できることを考慮し、支柱の最低地上高はおおむね2m以上とする考え方が示されています。
ただし、垂直型など、支柱の高さが営農条件へ影響しないことが明らかな構造については、2m未満でも認められる場合があります。
- トラクターなど使用する農業機械が通れるか
- 耕作できなくなる面積が大きくならないか
- 日陰によって必要な日照を失わないか
- 周辺農地の営農や水路の管理を妨げないか
許可申請から発電開始までの考え方
具体的な提出先・必要書類・手続きの順序は農地や事業計画によって異なります。まず農地の所在地を管轄する農業委員会や都道府県の担当窓口へ相談してください。
設備の設置者と営農者が別の場合
地上権などの権利を設定する場合には、農地法第3条の許可が必要になる場合があります。契約を先に確定せず、権利関係も含めて事前に確認してください。
自分の農地では、どこから確認すればいい?
農地区分、現在の営農状況、土地の面積、発電した電気の使い方などによって確認事項が変わります。まだ設備容量や売電方法を決めていない段階でも、まず整理すべき条件から確認できます。
農地での太陽光活用について相談する実際の許可・補助制度・設置可否は所在地と事業条件によって異なります。
許可後も毎年の営農実績・収支報告が必要
一時転用許可を取れば、その後は発電だけを続ければよいわけではありません。
現在の農林水産省の様式には、毎年提出する「栽培実績書」「収支報告書」が用意されています。許可申請時にも、これらの実績書等を提出する旨の誓約書が用意されています。
- 計画していた作物を適切に栽培できているか
- 作物の生育・収量に問題が生じていないか
- 下部農地の営農が継続しているか
- 農業経営としての収支を報告できる状態か
発電量だけではなく、「下部農地で適切な農業が続いているか」が継続の前提になります。
2026年度のFITはどうなる?
ソーラーシェアリングでも、設備規模や条件によってFIT・FIPを利用する場合があります。ただし「営農型太陽光なら無条件で全量売電できる」という仕組みではありません。
| 2026年度の主な区分 | 価格・制度の考え方 |
|---|---|
| 地上設置 10kW以上50kW未満 | 2026年度の調達価格は9.9円/kWh。FIT新規認定には地域活用要件があります。 |
| 営農型太陽光の特例 | 3年を超える農地転用許可が認められる案件では、災害時に活用できるなどの条件を満たせば、自家消費を行わない案件でもFIT新規認定の対象となる場合があります。 |
| 50kW以上 | 規模によってFIT・FIP・入札等の区分が変わるため、個別確認が必要です。 |
2027年度以降を前提に計画する場合は制度確認が必要です
経済産業省は、2027年度以降の事業用太陽光の地上設置について、FIT・FIP制度による支援の対象外とする方針を公表しています。これからソーラーシェアリングを計画する場合は、認定年度や事業スケジュールを含めて最新制度を確認してください。
売電だけを前提にせず、農業施設での自家消費なども含めて事業計画を比較する必要があります。
ソーラーシェアリングの収益性は何で決まる?
「50kWならいくら儲かる」「10年で元が取れる」と一律には判断できません。
同じ設備容量でも、農地・日射・パネル配置・系統接続・売電方法・自家消費量・工事条件などで収支が変わります。
収入・削減効果として見る項目
- 農作物の販売収入
- FIT・FIP等による売電収入
- 農業施設で自家消費した場合の電気料金削減
- その他、事業計画上確認できる収入
費用として見る項目
- 太陽光パネル・パワコン
- 営農に支障を与えない架台・支柱
- 基礎・電気・配線工事
- 系統接続に必要な費用
- 保険・点検・修繕
- 融資・金利
- 税金
- 将来の撤去・原状回復
特に営農型太陽光では、「農業を無理なく続けられる設備にした結果、発電事業としても成立するか」という順番で確認する必要があります。
2026年度に確認できる補助制度
営農型太陽光を対象に含む国の支援制度はありますが、「農地に設置すれば誰でも設備費の半分が補助される」という仕組みではありません。
農林水産省|営農型太陽光発電のモデル的取組支援
2026年度当初予算では、地域ぐるみの話合いにより、適切な営農と発電を両立するモデルを策定し、導入実証を行う取組への支援があります。
農林水産省の公開情報では、補助率は定額・2分の1以内、対象者は「協議会等」とされています。個人が設備を購入すれば一律に1/2補助される制度ではありません。
環境省|地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業
2026年度には、営農地・水面等を活用した地域共生型太陽光の設備導入を支援する公募も実施されました。
2026年8月13日時点の公募状況
環境省が公表した2026年度の公募は、4月24日から5月18日正午まででした。この公募期間はすでに終了しています。追加公募や別制度の有無は、申請時点で最新情報を確認してください。
自治体独自の制度も含め、対象者、設備要件、FIT・FIPとの関係、申請時期などは制度ごとに異なります。
導入前に確認したい7項目
- 下部農地で誰が営農を続けるか
発電設備の所有者とは別に、実際の営農体制を明確にします。 - 農地の区分・権利関係
農地区分、所有・賃借、地上権等の有無を確認します。 - 何を栽培するか
地域での栽培実績や、必要な日照を確認します。 - 農業機械を使える設計か
支柱の高さ・間隔、耕作可能面積、作業動線を確認します。 - 太陽光が営農へ与える影響
作物の生育に必要な日照が確保できるパネル配置にします。 - 電気をどう使うか
売電、自家消費、FIT・FIPの対象条件、系統接続を確認します。 - 撤去まで含めて資金計画を作る
設置費だけではなく維持管理、保険、修繕、撤去費用まで確認します。
ソーラーシェアリングでよくある質問
ソーラーシェアリングとは何ですか?
農地を持っていれば誰でもできますか?
農振農用地でもソーラーシェアリングはできますか?
一時転用許可は3年ですか?10年ですか?
遮光率は何%までなら大丈夫ですか?
収量が地域平均の8割を下回ったら、すぐ撤去になりますか?
毎年の報告は必要ですか?
FITで全量売電できますか?
50kWならいくらで設置できますか?
補助金は設備費の半分もらえますか?
まとめ|発電量より先に「営農を続けられるか」を確認する
- ソーラーシェアリングは、農地で営農を続けながら上部で発電する仕組みです。
- 設備の支柱等について、農地法に基づく一時転用許可が必要です。
- 許可期間は条件により3年以内または10年以内です。
- 作物ごとの一律の遮光率は定められておらず、必要な日照を確保する設計が求められます。
- 営農状況は毎年の栽培実績・収支報告などで確認されます。
- 営農型太陽光なら無条件でFIT全量売電できるわけではありません。
- 費用や回収年数は、設備容量だけではなく農地・系統・営農・工事条件を含めて判断します。
- 補助金は対象者・公募時期・設備条件ごとに確認が必要です。
一般的な制度や確認手順はこの記事で整理できますが、「自分の農地で一時転用許可の対象になるか」「どの作物・設備配置なら営農を続けられるか」「FITや補助金を利用できるか」「実際の収支はどうなるか」は個別条件によって異なります。
自分の農地では、ソーラーシェアリングを検討できる?
農地の所在地、現在の営農状況、面積、作物、電気の使い方などを整理すると、次に確認すべき制度や設備条件が見えてきます。まだ設置を決めていない段階でも構いません。
農地での太陽光活用について相談する許可・補助制度・FIT/FIP・設置可能な設備は条件と申請時期によって異なります。
- 農林水産省|営農型太陽光発電について
- 農林水産省|再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可
- 農林水産省|営農型太陽光発電の実務用Q&A 令和8年3月改訂版
- 資源エネルギー庁|FIT・FIP制度 買取価格・期間等
- 経済産業省|2026年度以降のFIT・FIP買取価格等
- 農林水産省|令和8年度 営農型太陽光発電のモデル的取組支援
- 環境省|令和8年度 地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業
制度、FIT・FIP、補助金、公募状況は変更される場合があります。実際の計画では、農地の所在地・設備規模・申請時期に合わせて最新情報をご確認ください。
