卒FITとは?売電終了後の選択肢5つと最適な対策【2026年版】

POST-FIT

ある日、電力会社から届いた通知。
「固定価格買取期間が満了します」

福岡市南区にお住まいの60代のご夫婦が、この通知を持って相談に来られました。「10年間ずっと月1万円以上の売電収入があったのに、これがなくなるの?」と不安そうな表情。

これが「卒FIT」です。

結論から言います。なくなるわけじゃない。でも、何もしなければ年間6〜11万円損する。逆に、正しく対策すれば卒FIT前より得するケースもある。

卒FITで何が変わる?(30秒でわかる)

FIT期間中卒FIT後(何もしない場合)
売電価格48〜16円/kWh7円/kWh(九電の場合)
売電収入(年間)8〜15万円2〜3万円
買う電気の単価約30円/kWh(九電 従量電灯B 第3段階)

7円で売って、30円で買う。差額23円を毎日垂れ流している状態。これが卒FIT後に何もしない人のリアルです。

SECTION 01

卒FITとは?3分でわかる仕組み

FIT(固定価格買取制度)は、太陽光発電の余剰電力を10年間、国が決めた価格で買い取る制度(→ FIT制度とは?)。この10年が終わることを「卒FIT」「FIT期間満了」「買取期間終了」と呼びます。

2019年11月に最初の大量卒FITが発生。いわゆる「2019年問題」で、約56万件が一斉に卒FITを迎えた(資源エネルギー庁)。以降、毎年数十万件ペースで増え続けています。

あなたの卒FIT時期はいつ?

設置年度FIT価格卒FIT時期卒FIT後の落差
2009年48円2019年(済)▲41円
2012年42円2022年(済)▲35円
2015年33円2025年▲26円
2018年26円2028年▲19円
2021年19円2031年▲12円
2024年16円2034年▲9円

2009〜2015年に設置した方は落差が特に大きい。でも安心してほしい。落差が大きい人ほど、対策した時の効果も大きい。損を取り返すチャンスはあります。

卒FIT後、何もしないとどうなる?

FIT期間が終了しても、発電は止まりません。パネルは25〜30年使えるので、卒FIT後も15〜20年は発電し続けます。

何も手続きしなければ、九州電力が7円/kWhで自動的に買い取ります(九州電力 卒FIT買取プラン)。発電はしてくれるけど、売電収入は激減。

ここで考えるべきは、「7円で売るか、30円の電気代を節約するか」。答えは明白。売るより使った方が断然お得

SECTION 02

卒FIT後の選択肢5つ【比較表つき】

まず全体像を見てください。

選択肢初期費用年間メリットおすすめ度
①蓄電池で自家消費80〜150万円
(補助金で実質30〜80万円)
+3.8〜5.5万円★★★★★
②エコキュート昼運転0円+1.5〜2.5万円★★★★★
③新電力に売電先変更0円+0.5〜1.5万円★★★☆☆
④EV+V2HV2H設備50〜100万円+4〜7万円★★★☆☆
⑤何もしない0円基準(0円)★☆☆☆☆

注目してほしいのは②のエコキュート昼運転。初期費用ゼロで年間1.5〜2.5万円のメリット。蓄電池を検討する前に、まずこれをやるべき。

①蓄電池で自家消費を最大化

卒FIT対策の本命。昼間の余剰電力を蓄電池に貯めて、夜に使う。7円で売る代わりに、30円の電気代を節約。1kWhあたり23円の差益が毎日発生します。

自家消費率は蓄電池なしの30〜40%から、60〜80%に跳ね上がる。実際に福岡のお客様で、月の電気代が1万2千円→2千円台になった事例があります。

②エコキュート昼運転【0円でできる即効対策】

オール電化の方は、エコキュートの沸き上げ時間を深夜→昼間に変更するだけ。タイマーを切り替えるだけなので費用はゼロ。

エコキュートの消費電力は1日あたり約3〜5kWh。これを太陽光の余剰電力で賄えば、年間約1.5〜2.5万円の電気代削減。蓄電池を入れる前に、まずこれを試してほしい。

裏ワザ:九電の電化でナイト・セレクトを見直す

卒FIT後、売電メリットが減った方は、電気料金プランの見直しも効果的。九電の「電化でナイト・セレクト」は深夜が安く昼が高い設計。卒FIT後に自家消費中心になるなら、従量電灯Bに戻した方が得になるケースがある。電気使用パターンが変わるなら、プランも変えるのが鉄則です。

③新電力に売電先を変更

九電の7円より高い8〜12円/kWhで買い取る新電力もあります。余剰電力が多い方(自家消費率が低い方)には有効。

ただし注意点も。2022年に新電力の倒産・撤退が相次いだのは記憶に新しい。買取価格だけで飛びつかず、会社の経営基盤を確認すること。大手グループ企業やインフラ系が安心。

④EV(電気自動車)+V2H

EVのバッテリー(40〜80kWh)を家の蓄電池として使うV2H。容量は家庭用蓄電池の4〜8倍という圧倒的な大きさ。

ただし弱点がある。通勤にEVを使う方は、日中は車が外にいて充電できない。在宅勤務の方や2台目としてEVを持っている方向け。V2H設備自体に50〜100万円かかるので、EVの購入予定がない方にはコスパが悪い。

⑤何もしない

手続きは不要で楽。でも、30円の電気を買いながら7円で売っている状態。たとえるなら、財布からお札を出して小銭に両替し続けているようなもの。パネルがまだ15〜20年動くことを考えると、この機会損失は大きい。

電気工事士の視点

卒FIT相談でいつも最初にお伝えするのは「蓄電池の前に、エコキュートの昼運転を試してください」ということ。先日も春日市の50代のお客様から「蓄電池を入れたい」と相談を受けましたが、ヒアリングしてみるとエコキュートが深夜運転のまま。昼に切り替えるだけで月2千円浮くことがわかった。その分を差し引いて蓄電池の投資回収を再計算すると、「10kWhは過剰。6.5kWhで十分」という結論に。無料でできることを先にやる。それでも足りない分だけ蓄電池で補う。この順番が大事です。

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「蓄電池は不要」とお伝えすることもあります。電気使用量をもとに数字で判断。

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SECTION 03

福岡の実例で見る卒FIT対策シミュレーション

「一般的な数字」ではなく、福岡の日照条件・九電の料金体系で計算します。

シミュレーション条件(福岡市の実例ベース)

所在地福岡市南区(2009年設置・2019年卒FIT済み)
太陽光パネル4.5kW(10年経過・出力維持率約95%)
年間発電量約4,800kWh(福岡の年間日照時間約1,900時間で算出)
電気料金プラン九電 従量電灯B(第3段階 約30円/kWh)
卒FIT後買取価格7円/kWh(九電)
家族構成3人家族(月間電力消費 約380kWh)

3パターンの年間収支比較

何もしないエコキュート昼運転蓄電池10kWh追加
自家消費率32%45%72%
自家消費量1,536kWh2,160kWh3,456kWh
自家消費の節約46,080円64,800円103,680円
売電収入(7円)22,848円18,480円9,408円
年間メリット合計68,928円83,280円113,088円
「何もしない」との差+14,352円+44,160円
初期費用0円0円実質約60万円
(補助金3重取り後)
回収年数約13.6年

エコキュート昼運転だけで年間+14,352円。蓄電池10kWhを追加すれば年間+44,160円。

蓄電池の回収年数13.6年は「長い」と感じるかもしれません。でもこの計算には電気料金の値上がりが含まれていない。過去5年で九電の電気代は約20%上昇しています。今後も上がる見込みを考えると、実際の回収は10〜12年になる可能性が高い。

さらに、停電時の安心という数字に表れない価値もある。2020年の台風10号では福岡県で約47万戸が停電した。蓄電池があれば冷蔵庫もエアコンも動く。この安心感はお金で買えないもの。

補助金3重取りの内訳(福岡市の場合)

補助金金額目安
国(DR補助金等)約20〜40万円
福岡県約10〜15万円
福岡市約5〜10万円
合計約35〜65万円

※金額は年度・予算状況により変動。最新情報は補助金ガイドで確認できます。

電気工事士の視点

先ほどの福岡市南区のご夫婦。最終的に蓄電池6.5kWhとエコキュート昼運転の組み合わせで対策しました。補助金を3重取りして、実質費用は約45万円。月の電気代は1万1千円から3千円台に。「もっと早く相談すればよかった」と言われたのが嬉しかったですね。卒FIT後2年間放置していたから、その間に約9万円損していた計算。だから口を酸っぱくして言います。卒FITの1年前から動いてください

SECTION 04

卒FIT対策のスケジュール

1年前から動く。これが鉄則。

卒FITまでやることポイント
1年前情報収集。電気使用データの整理検針票を6ヶ月分用意すると見積もりが正確に
8ヶ月前エコキュート昼運転に切り替え費用ゼロ。効果を2〜3ヶ月検証
6ヶ月前蓄電池の見積もり取得(2〜3社)エコキュート昼運転の実績をもとに最適容量を判断
4ヶ月前補助金申請(国・県・市)予算枠は先着順。早い者勝ち
2ヶ月前蓄電池の設置工事工事自体は半日〜1日で完了
卒FIT当月自家消費中心の運用開始発電モニターで効果を確認

特に重要なのは「8ヶ月前にエコキュート昼運転を試す」ステップ。これで自家消費率がどのくらい上がるかを実測してから蓄電池の容量を決めれば、過大投資を避けられる。段階的に対策する。これがプロのやり方。

電気工事士の視点

卒FIT後に慌てて蓄電池を入れる方が多いんですが、準備不足で割高になるケースをたくさん見てきました。補助金の締切に間に合わなかったり、急いで業者を選んで相場より高い見積もりで契約したり。1年前から動けば、補助金も業者選びも余裕をもってできる。焦って損するのは一番もったいないですね。

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SECTION 05

よくある質問(FAQ)

卒FIT後は売電できなくなる?
売電は続けられます。FIT期間が終了しても、電力会社が余剰電力を買い取ってくれます。ただし買取価格がFIT価格から7〜9円/kWhに大幅に下がるだけです。
卒FIT後に手続きは必要?
基本的には自動的に買取が継続されます。ただし買取先を新電力に変更する場合は、切り替え手続きが必要。蓄電池を導入する場合は系統連系の変更届が必要です。
卒FIT後にパネルを撤去すべき?
撤去はもったいない。パネルはまだ15〜20年使えます。売電収入は減りますが、自家消費に切り替えれば電気代の節約メリットは続く。蓄電池との組み合わせで、卒FIT後こそ太陽光の真価を発揮できます。
これから太陽光を設置する人にも卒FITは関係ある?
はい。2024年に設置しても10年後の2034年に卒FITを迎えます。ただし最近はFIT価格自体が低いので、元々自家消費中心で設計する傾向に。最初から蓄電池とセットで導入すれば、卒FITの影響を最小限にできます。
卒FIT後の売電先はどこがおすすめ?
九州電力の買取価格は7円/kWh程度。新電力では10〜12円/kWhで買い取る会社もある。ただし新電力は経営リスクがあるので、大手や実績のある会社を選ぶこと。蓄電池と併用すれば売電量自体が減るので、売電先の差は小さくなります。

SUMMARY

まとめ

  • 卒FITとはFITの10年間の買取期間が終わること
  • 九電の卒FIT買取価格は7円/kWh。何もしないと年間6〜11万円の損失
  • まずエコキュート昼運転(0円)を試す → 効果を実測
  • 足りなければ蓄電池で自家消費率を70%以上に
  • 補助金3重取りで実質費用を30〜80万円に抑える
  • 対策は卒FITの1年前から。焦ると補助金を逃す

卒FITは「太陽光発電の終わり」ではなく「第二章の始まり」。売電から自家消費への切り替えで、電気代ほぼゼロの生活が見えてくる。恐れるのではなく、チャンスと捉えてほしい。

冒頭で紹介した福岡市南区のご夫婦は今、月の電気代3千円台で暮らしている。「あの通知が届いたとき不安だったけど、相談してよかった」——そう言ってくださるお客様を、一人でも増やしたいと思っています。

電気工事士 緒方より

卒FITの相談はここ数年で本当に増えました。でも、焦って蓄電池を買う必要はない。まずはエコキュートの昼運転を試す。電気料金プランを見直す。それでも足りない分だけ蓄電池を入れる。この「段階的対策」が一番コスパがいい。そして何より、お客様一人ひとりの電気使用量で最適解が違う。だから無料相談では検針票を見ながら、数字で正直にお伝えしています。「蓄電池は不要ですよ」とお伝えすることもある。目先の売上よりお客様の利益が大事。それが当社のスタンスです。

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