SELF-CONSUMPTION vs SELLING
「太陽光で発電した電気、売った方が得?使った方が得?」
太陽光発電を検討するときに、ほぼ全員が直面するこの疑問。10年前なら「売った方が圧倒的に得」が正解でした。売電価格が42円/kWhもあったから。
でも2026年の今は状況がまるで違う。
2026年の現実(九州電力エリア)
| 金額 | 意味 | |
|---|---|---|
| 売電単価(FIT) | 16円/kWh | 電力会社に売れる価格 |
| 買電単価 | 約30円/kWh | 九電から買う電気の価格(従量電灯B 第3段階) |
| 差額 | 14円/kWh | 使った方が14円お得 |
答えはシンプル。16円で売るより、30円の電気を買わずに済む方が14円お得。つまり2026年は「使った方が得」。これが結論です。
ただし「全部使え」という話ではない。自家消費と売電のバランスをどう設計するかが重要。その具体的な方法を解説します。
SECTION 01
自家消費と売電の仕組み
太陽光パネルで発電した電気は、自動的に2つに振り分けられます。
-
1
自家消費 = 発電した電気を自宅で使う
発電中(主に昼間)に家庭で使う電気は、太陽光の電気が優先的に使われます。これが自家消費。電力会社から電気を買わなくて済むので、電気代がそのまま節約になる。
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2
売電(余剰売電) = 使い切れない電気を電力会社に売る
昼間の発電量が自宅の消費量を上回ったとき、余った電気が自動的に電力会社に売られる。これがFIT制度による売電。売電収入として銀行口座に振り込まれます。
この振り分けは自動。太陽光パネルとパワコンが勝手にやってくれるので、家庭内でスイッチを切り替える必要はありません。
典型的な1日の電力の流れ
| 時間帯 | 発電 | 消費 | 電力の流れ |
|---|---|---|---|
| 6:00〜8:00 | 少ない | 朝食・準備で多め | ほぼ買電 |
| 9:00〜15:00 | 最大 | 不在・少ない | 余剰 → 売電 |
| 16:00〜22:00 | 減少〜ゼロ | 帰宅・夕食で最大 | ほぼ買電 |
| 22:00〜6:00 | ゼロ | 少ない | 全て買電 |
共働き世帯の場合、昼間は家に誰もいないので発電のほとんどが売電に回る。逆に在宅勤務や専業主婦/主夫のいる家庭は、昼間の自家消費が多く売電が少ない。ライフスタイルによって自家消費率は大きく変わる。
SECTION 02
自家消費と売電、結局どっちが得?
数字で比較します。
1kWhの電気が生む経済メリット
| 自家消費 | 売電(FIT) | 売電(卒FIT後) | |
|---|---|---|---|
| 1kWhの価値 | 約30円(買電を避ける) | 16円(2024年度) | 7円(九電) |
| 自家消費との差 | — | ▲14円の損 | ▲23円の損 |
FIT期間中でも、売電は自家消費より1kWhあたり14円損。卒FIT後は23円損。どの時期でも「使った方が得」。
しかも電気代は上がり続けている。九電の電気代は2019年→2024年の5年間で約20%上昇。再エネ賦課金や燃料費調整額の高騰が主因(資源エネルギー庁)。今後も上がるなら、自家消費の価値はさらに高まる。
福岡の4人家族でシミュレーション
条件:5kWシステム / 年間発電5,400kWh / 九電 従量電灯B
| 自家消費率30% | 自家消費率50% | 自家消費率70% | |
|---|---|---|---|
| 自家消費量 | 1,620kWh | 2,700kWh | 3,780kWh |
| 自家消費の節約 | 48,600円 | 81,000円 | 113,400円 |
| 売電量 | 3,780kWh | 2,700kWh | 1,620kWh |
| 売電収入(16円) | 60,480円 | 43,200円 | 25,920円 |
| 年間メリット合計 | 109,080円 | 124,200円 | 139,320円 |
自家消費率30%→70%に上げるだけで、年間メリットが約3万円アップ。10年で30万円の差。この差は大きい。
では、なぜ「全部自家消費」にしないの?
太陽光は昼間しか発電しないのに、電気を一番使うのは夕方〜夜。このタイムラグがある限り、蓄電池なしでは自家消費率に限界がある。一般家庭で蓄電池なしの場合、自家消費率は30〜40%が普通。ここを引き上げるには工夫が必要です。
電気工事士の視点
見積もり相談で「売電で元を取りたい」と言われることがまだ多い。でも正直に言います。2026年に売電で儲けようとするのは古い考え方。FIT価格が48円だった頃は「太陽光=売電ビジネス」だったけど、今は「太陽光=電気代削減ツール」に変わった。売電はあくまでオマケ。本命は自家消費です。この認識を持って設計すると、10年後の後悔が激減しますよ。
SECTION 03
自家消費率を上げる5つの方法
自家消費率が高いほどメリットが大きい。では、どうやって上げるか。
-
1
蓄電池を導入する【効果:+25〜40%】
最も確実な方法。昼間の余剰電力を貯めて夜に使う。10kWhの蓄電池で自家消費率は30% → 60〜70%に跳ね上がる。初期投資は必要だが、効果は圧倒的。(→ 蓄電池は必要?)
-
2
エコキュートを昼間運転にする【効果:+10〜15%/0円】
深夜に沸かしていたお湯を、太陽光が発電している昼間に沸かす。タイマーを変えるだけなので費用ゼロ。エコキュートの1日の消費電力3〜5kWhを丸ごと自家消費に回せる。
-
3
家電の稼働を昼間にシフトする【効果:+5〜10%/0円】
食洗機、洗濯乾燥機、炊飯器、ロボット掃除機——これらを昼間にタイマーセットするだけ。特に洗濯乾燥機は1回あたり2〜3kWhも使うので効果が大きい。
-
4
EV(電気自動車)で昼間に充電する【効果:+15〜25%】
在宅勤務の方やセカンドカーがEVの方は、昼間の余剰電力でEVを充電。40kWhバッテリーへの充電は家庭用蓄電池4〜5台分の消費。自家消費率の大幅アップに貢献する。
-
5
パネル容量を適切に設計する【設計段階の話】
これから設置する方は、パネル容量を「大きければいいい」と考えない方がいい。屋根いっぱいに載せて発電量が多すぎると、余剰が増えて自家消費率が下がる。家庭の電力消費量に合わせた容量設計が重要。
自家消費率アップの組み合わせ効果
| 対策の組み合わせ | 自家消費率の目安 | 追加費用 |
|---|---|---|
| 何もしない(蓄電池なし) | 30〜35% | 0円 |
| エコキュート昼運転+家電シフト | 45〜55% | 0円 |
| 上記+蓄電池6.5kWh | 65〜75% | 60〜100万円 |
| 上記+蓄電池10kWh | 75〜85% | 80〜130万円 |
まず0円でできる対策を全部やって、それでも足りない分だけ蓄電池を検討。この順番が一番コスパがいい。
SECTION 04
電気代は今後も上がる?自家消費の将来価値
自家消費のメリットは「今の電気代」で計算されることが多い。でも太陽光発電は25年使う設備。将来の電気代がどうなるかで、自家消費の価値は大きく変わります。
| 年度 | 九電 従量電灯B(目安) | 再エネ賦課金 |
|---|---|---|
| 2019年 | 約24円/kWh | 2.95円 |
| 2021年 | 約26円/kWh | 3.36円 |
| 2023年 | 約30円/kWh | 1.40円(一時的に軽減) |
| 2025年 | 約31円/kWh | 3.49円 |
6年間で約7円/kWh(約30%)上昇。エネルギー価格の世界的な高騰、再エネ賦課金の上昇、送配電コストの増加——電気代が下がる要因はほぼない。
仮に今後10年で電気代がさらに20%上がると、買電単価は36円/kWhに。その時、自家消費1kWhの価値は36円。売電単価(FIT16円)との差は20円。電気代が上がるほど、自家消費の価値は上がる。太陽光+自家消費は、電気代上昇に対する最強のヘッジ。
電気工事士の視点
3年前に太陽光を設置したお客様から「設置時のシミュレーションより電気代の節約額が大きい」と報告を受けることが増えています。理由は単純で、設置時に想定した電気代(26円)より実際の電気代(31円)が高くなっているから。シミュレーションは「現在の電気代が続く前提」で計算しますが、現実は上がり続けている。自家消費重視の設計にしておけば、電気代が上がるほどメリットが大きくなる。これは太陽光発電の隠れた強みです。
SECTION 05
よくある質問(FAQ)
SUMMARY
まとめ
- 2026年は売電16円 vs 買電30円。自家消費が圧倒的に得
- 自家消費率30%→70%で年間メリット約3万円アップ
- まずエコキュート昼運転+家電シフト(0円)で自家消費率45〜55%に
- さらに上げたいなら蓄電池で70〜85%に
- 電気代は上がり続けるから、自家消費の価値は年々上がる
- 太陽光は「売電ビジネス」から「電気代削減ツール」に進化した
「売電で儲ける」時代から「自家消費で守る」時代へ。発想を切り替えると、太陽光発電の本当の価値が見えてきます。電気代が上がれば上がるほど、自家消費している人だけが守られる。それは10年後、20年後にもっとはっきりするはず。
電気工事士 緒方より
お客様には必ず伝えていることがあります。「売電収入はオマケ。本命は電気代の削減」。売電収入を最大化する設計ではなく、自家消費率を最大化する設計にすることで、10年後も20年後も確実にメリットが出続ける。売電単価は国の政策で変わるけど、自家消費のメリットは電気代が上がれば自動的に増える。どちらに賭けるべきか、答えは明らかですよね。
