全負荷型と特定負荷型の違い|蓄電池の選び方を停電対策で解説

FULL vs PARTIAL BACKUP

「停電したとき、エアコン使えますか?」
──それ、蓄電池の「タイプ」によります。

蓄電池には「全負荷型」と「特定負荷型」の2タイプがある。この違いを知らずに買うと、「停電したのにエアコンが使えない」「IHが動かない」という後悔につながる。

逆に言えば、停電時に照明とスマホ充電だけできればいいなら、全負荷型にお金をかける必要はない。大事なのは、「停電時に何を使いたいか」を先に決めること。タイプはそこから逆算すれば自然に決まります。

この記事では、全負荷型と特定負荷型の違いを、停電時の使い方・価格差・工事の違いまで含めて徹底解説します。

※本記事の情報は2026年2月時点のものです。

SECTION 01

全負荷型と特定負荷型の違い──一覧比較

まず結論を一覧にします。

比較項目全負荷型特定負荷型
停電時の電力供給家全体のすべての回路あらかじめ選んだ回路のみ
200V機器(エアコン・IH)使える使えない(100Vのみ)
停電時の出力3〜5.9kVA(大きい)1.5〜2kVA(小さめ)
価格(同容量で比較)やや高い(+10〜30万円)安い
工事の複雑さ分電盤の交換が必要な場合あり比較的シンプル
こんな人向け停電時もいつも通りの生活がしたい最低限の電力確保でOK

ひとことで言えば、全負荷型は「停電時でも普段通り」、特定負荷型は「停電時は最低限」。どちらが良いかは、あなたが停電時に何を使いたいかで決まります。

現場から
お客様の8割が最初に聞くのが「停電のときどうなるんですか?」。全負荷と特定負荷の違いを説明すると、「そんな違いがあるんだ」と驚かれる方が多い。特に200V機器(エアコン・IH・エコキュート)を停電時にも使いたいかどうかが、最大の分かれ目です。

SECTION 02

停電時に使える家電──タイプ別シミュレーション

具体的に、停電したら何が使えて何が使えないのか。イメージしてみましょう。

特定負荷型の場合(出力1.5kVA・100Vのみ)

家電消費電力使える?
照明(LED)×3部屋約30W
冷蔵庫約100W
スマホ充電×3台約30W
テレビ約100W
Wi-Fiルーター約15W
エアコン(200V)約600〜1,500W❌ 使えない
IHクッキングヒーター約2,000W❌ 使えない
エコキュート約1,000W❌ 使えない

全負荷型の場合(出力5.9kVA・200V対応)

上記のすべてが使えます。エアコンもIHもエコキュートもOK。真夏の停電でもエアコンが使え、調理もできる。ただし同時に使いすぎると出力上限を超えるため、大型家電の同時使用は避ける運用が必要。

停電の「長さ」も考える

10kWhの蓄電池で特定負荷型なら約24〜30時間持つ。全負荷型でエアコンも使うと約8〜12時間に短縮される。容量が同じでも、使い方で持続時間が大きく変わる。全負荷型は大容量(10kWh以上)との組み合わせが基本。

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SECTION 03

価格差と工事の違い

全負荷型のほうが高い。でも「いくら高いのか」を具体的に知っておけば、判断しやすくなります。

項目全負荷型(10kWh)特定負荷型(10kWh)
蓄電池本体+パワコン160〜210万円140〜180万円
工事費30〜45万円25〜35万円
合計190〜255万円165〜215万円
価格差約20〜40万円の差

全負荷型が高い理由は2つ。①パワコンの出力が大きい(200V対応で5.9kVA)ため、本体価格が高い。②工事が複雑で、分電盤の交換や200V回路の配線工事が追加される場合がある。

ただし20〜40万円の差は、15〜20年使う設備の「保険料」と考えれば、年間1〜2万円の追加投資。停電時にエアコンが使えるかどうかの違いに、この金額を払う価値があるかどうか。

経験
「全負荷型にしたいけど予算が…」という方には、こうお話ししています。「特定負荷型で蓄電池の容量を1ランク上げるのと、全負荷型で容量を1ランク下げるの、どっちが良いかを考えましょう」。たとえば特定負荷型の12kWhと、全負荷型の10kWh、価格はほぼ同じ。停電対策を重視するなら全負荷型10kWh、日常の電気代削減を重視するなら特定負荷型12kWh。目的で変わります。

SECTION 04

あなたに合うのはどっち?判断フローチャート

3つの質問に答えるだけで、あなたに合うタイプが見えてきます。

Q1:停電時にエアコンを使いたいですか?

YES → 全負荷型を検討
NO → Q2へ

Q2:オール電化住宅ですか?(IH・エコキュート使用)

YES → 全負荷型を強くおすすめ(停電時に調理・給湯ができなくなるため)
NO → Q3へ

Q3:停電は「照明+冷蔵庫+スマホ充電」があればOK?

YES → 特定負荷型でOK(コストを抑えられる)
NO → 全負荷型が安心

オール電化住宅は全負荷型がほぼ必須

ガスコンロがない家は、停電時にIHが使えないと調理ができない。エコキュートが止まるとお湯も出ない。オール電化の家は全負荷型一択と考えてください。ガス併用なら、停電時はガスコンロで調理できるため、特定負荷型でもOK。

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SECTION 05

全負荷型を選ぶべき人・特定負荷型で十分な人

全負荷型を選ぶべき人

  • オール電化住宅に住んでいる(IH・エコキュート使用)
  • 小さい子どもや高齢者がいて、停電時の快適性を重視する
  • 在宅ワークで、停電時もPC・Wi-Fiを使い続けたい
  • 台風・地震の多い地域に住んでいて、停電リスクが高い
  • 真夏・真冬にエアコンが止まると健康リスクがある

特定負荷型で十分な人

  • ガス併用住宅で、停電時はガスコンロで調理できる
  • 停電は「照明+冷蔵庫+スマホ」があれば乗り切れる
  • 蓄電池の目的が停電対策よりも電気代削減がメイン
  • 予算を抑えたい(20〜40万円の差を他に使いたい)
  • 蓄電池の容量を大きくしたい(同予算で1ランク大容量に)
アドバイス
よく聞かれるのが「特定負荷型で、停電時に使う回路は後から変更できますか?」。基本的にはできます。ただし工事が必要なケースもあるため、最初に「どの回路を停電対応にするか」をしっかり決めておくのが大事。冷蔵庫・リビング照明・コンセント1〜2箇所が定番の選択です。

SECTION 06

導入事例──選び方の実例

事例① ─ 福岡市城南区 Aさん(4人家族・オール電化・築8年)

オール電化のため全負荷型10kWhを選択

タイプ

全負荷

選定理由

IH・エコキュート

「オール電化だから停電したら何もできない。エアコンもIHも使えないと困る」がAさんの判断。全負荷型を選んだおかげで、昨年の台風時も普段通りの生活ができた。※実績に基づくイメージです

事例② ─ 春日市 Bさん(夫婦2人・ガス併用・築20年)

電気代削減がメイン → 特定負荷型12kWhでコスパ重視

タイプ

特定負荷

浮いた予算で

容量UP12kWh

「ガスコンロがあるから停電時の調理は大丈夫。それより電気代を減らしたい」がBさんの判断。全負荷型との差額30万円で容量を10kWh→12kWhにアップ。年間の経済効果がさらに大きくなった。※実績に基づくイメージです

事例③ ─ 糟屋郡粕屋町 Cさん(5人家族・在宅ワーク・築5年)

在宅ワーク+乳幼児 → 全負荷型13.5kWh(テスラ Powerwall)

タイプ

全負荷

容量

13.5kWh

「在宅ワークでPC+Wi-Fiが止まったら仕事ができない。赤ちゃんがいるからエアコンも必須」がCさんの判断。テスラ Powerwallの全負荷型を選択。大容量で停電時も約12時間のフルバックアップが可能。※実績に基づくイメージです

FAQ

よくある質問

特定負荷型を後から全負荷型に変更できる?
基本的にはできません。パワコンの仕様が異なるため、全負荷型に変更するにはパワコンの交換が必要です。追加で20〜35万円程度かかる。最初から全負荷型を選んだほうが結果的に安く済むケースが多いです。
全負荷型で停電時にすべての家電を同時に使える?
出力上限(通常5.9kVA)の範囲内なら同時使用が可能です。ただしエアコン+IH+電子レンジなどを同時に使うと上限を超える可能性があります。停電時は「何を優先するか」を家族で決めておくのがおすすめ。
特定負荷型の「特定の回路」は何を選べばいい?
定番は「冷蔵庫」「リビング照明」「コンセント1〜2箇所(スマホ充電・Wi-Fi用)」。施工時に分電盤のどの回路を停電対応にするか選べます。通常2〜4回路が目安。
停電がほとんどない地域でも全負荷型は必要?
停電頻度が少ない地域なら、特定負荷型でコストを抑えるのも合理的な選択です。ただし災害時の停電は予測できません。「保険」としてどこまで備えるかは個人の価値観次第。→ 蓄電池は必要?判断基準
全負荷型のほうが電気代削減効果も大きい?
平常時の電気代削減効果は、全負荷型も特定負荷型もほぼ同じです。違いが出るのは停電時だけ。「電気代削減」だけが目的なら、特定負荷型で十分です。
200Vのエアコンは全負荷型でないと絶対に使えない?
特定負荷型は100V出力のみなので、200V機器は使えません。ただし100Vタイプのエアコン(6畳用など小型のもの)なら、特定負荷型でも停電時に使える場合があります。ただし回路設計が必要なので、事前に施工業者に相談してください。

SUMMARY

まとめ

冒頭の「停電したとき、エアコン使えますか?」──全負荷型なら使えます。特定負荷型では使えません。それが答え。

この記事のポイント

  • 全負荷型:停電時に家全体をバックアップ。200V機器(エアコン・IH)も使える
  • 特定負荷型:停電時は選んだ回路のみ。100Vのみ。コストは20〜40万円安い
  • オール電化住宅は全負荷型がほぼ必須(停電時にIH・エコキュートが使えないため)
  • ガス併用で停電時は最低限でOKなら、特定負荷型でコストを抑えるのも正解
  • 特定負荷→全負荷の後付け変更はパワコン交換が必要で割高。最初の選択が重要
  • 平常時の電気代削減効果は両タイプとも同じ。違いは停電時だけ
電気工事士 緒方より
全負荷か特定負荷かは、「停電時にどんな生活を送りたいか」で決まる。正解はお客様の中にあります。「エアコンなしで一晩過ごせる?」「ガスコンロがあるから大丈夫?」──こういう具体的な質問に答えていくと、自然に決まりますよ。迷ったら相談してください。お客様の生活スタイルを聞いて、一緒に考えます。

緒方

電気工事士 / 太陽光補助金ドットコム 技術監修

全負荷か特定負荷か、一緒に考えます

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