太陽光発電が何年で元を取れるかは、「福岡なら7年」「5kWなら10年」のように一つの年数では決まりません。
投資回収年数を決めるのは、設置費用だけではありません。
年間発電量、自宅で使う電力量、電気料金、売電量、FIT単価、利用できる補助金、将来のメンテナンス費などを合わせて計算します。
2026年度の住宅用太陽光発電ではFITが1~4年目24円/kWh、5~10年目8.3円/kWhとなっていますが、この売電単価だけから「○年で回収」と決めることはできません。
この記事では、現在確認できる公的データを使いながら、福岡で太陽光発電を検討するときの投資回収の計算方法を整理します。
2026年の投資回収で使う3つの基準
1.2026年度FITは24円→8.3円
経済産業省が公表している2026年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)のFITは次のとおりです。
| 期間 | FIT買取価格 |
|---|---|
| 1~4年目 | 24円/kWh |
| 5~10年目 | 8.3円/kWh |
これは2026年度に認定を受ける10kW未満の住宅用太陽光発電に適用される初期投資支援スキームです。
2.5kWの初期費用は「見積総額」で計算する
JPEAが経済産業省の最新公表データをもとに案内している2025年設置の新築住宅用太陽光の平均システム費用は、28.9万円/kWです。
5kWへ単純換算すると、
となります。
これは全国の新築住宅の平均値を容量へ単純に掛けた参考値です。既存住宅への後付け、屋根形状、足場、メーカー、パワーコンディショナーなどで実際の価格は変わります。
初期費用については、太陽光発電の費用相場|2026年最新のkW単価・新築と既築・見積もりの見方で詳しく整理しています。
3.発電量は屋根ごとに変わる
JPEAは簡易的な計算例として、真南・傾斜30度の場合、1kWあたり年間約1,000kWhを示しています。
この条件を単純に5kWへ当てはめると年間約5,000kWhです。
ただし、実際の福岡の住宅では、地域、屋根方位、傾斜、影、設置容量などで変わります。契約前には自宅の屋根条件を反映した発電シミュレーションを確認してください。
太陽光発電の投資回収年数はどう計算する?
基本的な考え方は難しくありません。
実質初期費用
補助金は「使える予定額」ではなく、住所・設備・申請時期を確認した金額を使います。
1年間の経済メリット
さらに長期間の投資回収を見る場合は、点検・修理・パワーコンディショナー交換などの費用も考慮します。
自家消費による電気代削減
売電収入
同じ5kWでも、昼間に電気を多く使う家庭と昼間ほとんど不在の家庭では、自家消費量が異なります。そのため回収年数も変わります。
5kWで計算するとどうなる?前提を公開した簡易モデル
ここでは「何年で元が取れる」と断定するためではなく、計算方法を確認するためのモデルを作ります。
- 設置容量:5kW
- 初期費用:144.5万円
- 年間発電量:5,000kWh
- 自家消費した電気の価値:30円/kWhと仮定
- FIT:1~4年目24円/kWh、5~10年目8.3円/kWh
- 補助金:0円として計算
- パネル劣化:計算に含めない
- ローン金利:計算に含めない
- メンテナンス・機器交換:計算に含めない
年間発電量と電気料金は自宅の条件へ置き換える必要があります。あくまで「同じ5kWでも自家消費率によって結果が変わる」ことを見るための計算例です。
| 自家消費率 | 1~4年目の年間メリット | 5~10年目の年間メリット | 10年間累計 |
|---|---|---|---|
| 20% | 約12.6万円 | 約6.3万円 | 約88.3万円 |
| 30% | 約12.9万円 | 約7.4万円 | 約96.0万円 |
| 40% | 約13.2万円 | 約8.5万円 | 約103.7万円 |
例えば自家消費率30%のモデルでは、10年間の単純な累計メリットは約96万円です。
初期費用144.5万円に対して、少なくともこの条件では10年時点でも全額を回収していません。
ここへ実際の補助金、実際の電気料金、屋根ごとの発電量などを反映すると回収年数が変わります。
福岡では「補助金30万円」を先に引かない
投資回収シミュレーションで特に注意したいのが補助金です。
福岡県内でも制度は自治体ごとに異なり、毎年度内容が変わる可能性があります。
2026年度、福岡県では家庭向けの太陽光・蓄電池共同購入事業が実施されています。これは参加者をまとめることで導入価格の低減を目指す仕組みで、一律の現金補助とは異なります。
また、福岡市の令和8年度住宅用エネルギーシステム導入支援事業では、蓄電池、V2H、エコキュート、家庭用燃料電池などに補助制度がありますが、太陽光発電だけを設置すれば一律30万円が交付される制度ではありません。
そのため投資回収を計算するときは、最初から「補助金30万円」「国+県+市で55万円」などと固定せず、自宅で実際に利用できる制度を確認した後に初期費用から差し引きます。
5年目からFITが8.3円になると何が変わる?
2026年度のFITでは、5年目から余剰売電の価格が8.3円/kWhになります。
このため、5年目以降は自宅で使う電気の価値と売電価格の差が、投資回収に大きく影響します。
ただし、「必ず売るより使った方が得」と金額だけで決めるのではなく、自宅の電気料金と使用時間帯を確認します。
昼間の自家消費量を増やせる家庭では、自家消費が投資回収へ与える影響も大きくなります。
10年後の売電価格を今から固定して計算しない
住宅用FITの固定価格での買取期間は10年間です。
11年目以降は、現在のFIT価格がそのまま続くわけではありません。売電を続ける場合は、その時点で利用できる買取プランを確認することになります。
そのため2026年時点で、
- 11~25年目は7円/kWhで固定
- 卒FIT後は必ず蓄電池が得
- 25年間で必ず○万円利益が出る
といった前提を置いて確定的な利益額を表示するのは避けた方が安全です。
長期シミュレーションを作る場合は、11年目以降について複数の条件で確認します。
メンテナンス・パワコン交換も投資回収へ入れる
太陽光発電は初期費用だけで20年、25年使い続けられるとは限りません。
JPEAでは、太陽電池モジュールは20年以上、パワーコンディショナーは10~15年程度が耐用年数の目安として案内されています。
10~15年経ったら必ず交換するという意味ではありませんが、長期の投資回収では将来の修理・交換可能性を無視しない方が現実的です。
- 定期的な点検
- 故障時の修理
- パワーコンディショナーの交換
- 保証対象外となる修理
- ローンを利用する場合の金利
具体的な金額はメーカー・機種・工事条件によって異なるため、一律の交換費用を先に決める必要はありません。
蓄電池は太陽光と分けて投資回収を見る
太陽光5kWと蓄電池10kWhをセットにしただけで、「12年で回収」「太陽光だけより利益が増える」と決めることはできません。
蓄電池については、
- 本体・工事費
- 利用できる補助金
- 実効容量
- 充放電効率
- サイクル・劣化
- 保証期間
- 太陽光から実際に充電できる量
- 夜間の電気使用量
などを確認する必要があります。
太陽光単体の回収年数と、蓄電池を追加した場合の追加投資の回収年数を分けて見ると、判断しやすくなります。
自宅の投資回収を計算するときに必要な数字
補助金を引く前の契約金額を確認します。
住所、設備、申請時期を確認した金額だけを使います。
屋根方位、傾斜、影、設置容量を反映したシミュレーションを使います。
発電した電気のうち、家庭内で使える量を確認します。
現在契約している料金プランから、自家消費で買わずに済む電気の価値を確認します。
2026年度の新規認定なら1~4年目24円、5~10年目8.3円です。
ローン金利、点検、機器交換なども長期計算では確認します。
業者の投資回収シミュレーションで確認したいこと
- 初期費用はいくらで計算しているか
- 補助金は本当に利用できる制度か
- 年間発電量はどの条件で算出したか
- 自家消費率を何%で置いているか
- 買電単価を何円で計算しているか
- FITは認定年度と一致しているか
- 11年目以降の売電単価をどう仮定しているか
- パネルの劣化をどう扱っているか
- パワコン交換などの将来費用を含めているか
- ローン金利を含めているか
「7年で元が取れます」という結果だけを見るのではなく、その7年がどの前提から出ているのかを確認してください。
太陽光発電の投資回収でよくある質問
一律には決まりません。設置費用、補助金、発電量、自家消費量、電気料金、FITなどで変わります。「福岡なら○年」という数字ではなく、自宅の条件を入れて計算してください。
5kWという容量だけでは判断できません。この記事の補助金なし簡易モデルでは10年でも初期費用全額には届きません。補助金や実際の発電量などを反映すると結果は変わります。
1~4年目の売電収入は計算しやすくなりますが、5~10年目は8.3円/kWhです。初期4年間だけを見て回収年数を判断せず、10年間とその後まで分けて確認してください。
一律30万円ではありません。自治体、設備構成、申請時期によって制度が異なります。利用できることを確認した補助金だけを投資回収へ反映してください。
将来の電気料金は確定できません。基本シミュレーションでは現在の条件を使い、必要であれば料金が変化した場合を別シナリオとして比較する方法が分かりやすいでしょう。
必ずしもそうではありません。自家消費量は増やせますが、蓄電池自体の購入費も発生します。太陽光単体と蓄電池追加分を分けて計算してください。
設備費を回収した後も発電による経済メリットは続きますが、点検、修理、機器交換などの費用が発生する可能性があります。「回収後はすべて利益」とは考えず、長期の維持費も含めて確認します。
まとめ|「何年で元が取れるか」は自宅の数字で判断する
- 2026年度FITは1~4年目24円/kWh、5~10年目8.3円/kWh
- 5kWだから7年で回収できるとは限らない
- 初期費用は実際の見積総額を使う
- 補助金は利用できることを確認してから差し引く
- 発電量は屋根条件を反映する
- 自家消費率を固定値にしない
- 11年目以降の売電価格を長期間固定しない
- パワコン交換などの将来費用も考慮する
- 太陽光と蓄電池の投資回収は分けて確認する
「7年」「10年」という回収年数だけを比較するより、その数字がどの条件で計算されているかを見る方が、見積もりを正しく判断できます。
まず現在の見積書、年間電気使用量、太陽光の発電シミュレーションを確認してください。
主な公的・業界団体の確認先
- 経済産業省|2026年度以降のFIT・FIP買取価格
- 資源エネルギー庁|FIT・FIP制度の買取価格・期間
- 太陽光発電協会(JPEA)|住宅用太陽光の設置費用
- 太陽光発電協会(JPEA)|年間発電量の計算例
- 太陽光発電協会(JPEA)|機器の耐用年数
- 福岡市|令和8年度住宅用エネルギーシステム導入支援事業
- 福岡県|令和8年度 太陽光発電設備・蓄電池の共同購入
掲載内容は2026年8月14日時点で確認しています。FIT、補助制度、電気料金、見積金額などは変更される場合があります。実際の投資回収は住宅ごとの条件でご確認ください。
