太陽光発電のある住宅でガスコンロをIHクッキングヒーターへ替えると、昼間に発電した電気を調理に使える機会は増えます。
ただし、IHへ替えるだけで光熱費が大きく下がるとは限りません。
ガス給湯器をそのまま使う場合はガス契約も残ります。ガスをほぼ使わない「オール電化」まで切り替える場合は、IHだけでなく、給湯をエコキュートなどへ変更したときの電気使用量・ガス使用量・太陽光の自家消費量を合わせて比較する必要があります。
「IHだけ替える」「エコキュートまで替える」「太陽光も新しく設置する」では、費用も光熱費も大きく異なります。まずは何を電化するのかを分けて考えると判断しやすくなります。
IHだけ替える場合とオール電化にする場合の違い
| 切り替え方 | 変わる設備 | ガス契約 | 太陽光との関係 |
|---|---|---|---|
| IHだけ | ガスコンロ→IH | ガス給湯器などを使うなら残る | 昼間の調理に発電電力を使える |
| IH+エコキュート | 調理+給湯を電化 | ほかにガス機器がなければ解約を検討できる | 調理に加え、給湯でも太陽光を利用しやすくなる |
| 太陽光+IH+エコキュート | 発電・調理・給湯 | 住宅条件による | 発電した電気を住宅内で使う選択肢が増える |
IHだけではガス基本料金がなくならない場合がある
ガスコンロをIHへ替えても、お風呂や給湯にガスを使っていればガス契約は続きます。
そのため「IHに替えればガス代がゼロになる」とは限りません。
給湯まで電化すると影響が大きくなる
ガス給湯器をエコキュートなどへ変更すると、給湯に使っていたガスが電気へ移ります。
太陽光がある場合は、昼間の余剰電力を利用して沸き上げる機種・運転方法も選択肢になります。
2026年度FITと自家消費|「売るか使うか」は単価を比較する
2026年度に認定を受ける10kW未満の住宅用太陽光発電には、初期投資支援スキームが採用されています。
| 期間 | 2026年度住宅用FIT |
|---|---|
| 1~4年目 | 24円/kWh |
| 5~10年目 | 8.3円/kWh |
既設の太陽光発電が2026年度のFIT単価へ変更されるわけではありません。現在の売電契約・認定時期に応じた単価を確認してください。
太陽光で発電した1kWhを自宅で使う価値は、その時間帯に電力会社から買わずに済む電気料金と関係します。
そのため「売電単価より買電単価が必ず高い」と決めつけず、自宅の電気料金プランとFIT単価を比較します。
時間帯別料金のプランでは、昼間と夜間で電力量料金が異なります。燃料費調整額なども変動するため、料金プラン変更前には現在の使用時間帯を含めて試算してください。
IH・エコキュートへの切り替え費用は何で変わる?
IHやエコキュートには、全国一律の設置価格があるわけではありません。
本体価格だけでなく、現在の住宅設備や工事内容によって見積額が変わります。
| 設備 | 見積もりで確認する主な項目 |
|---|---|
| IHクッキングヒーター | 機種、ビルトイン寸法、200V回路、配線、分電盤、既存コンロ撤去、ガス配管処理 |
| エコキュート | タンク容量、設置場所、基礎、配管、電気工事、既存給湯器の撤去・処分、リモコン等 |
| 太陽光発電 | 設置容量、パネル、屋根形状、足場、パワーコンディショナー、電気工事等 |
特に既築住宅では、現在の分電盤や電気配線によって追加工事が必要になる場合があります。
見積もりを比較するときは本体価格だけでなく、電気工事・撤去・配管・保証まで含めた総額を確認してください。
エコキュートは「給湯省エネ2026」の補助対象になる場合がある
2026年は、国の「給湯省エネ2026事業」が実施されています。
補助対象製品として登録されたエコキュートを対象要件に沿って導入する場合、基本額は7万円/台です。
さらに、所定の高い省エネ性能を満たす対象製品には3万円/台の性能加算があります。
- 基本額:7万円/台
- 性能加算:対象機種は+3万円/台
- 補助対象として登録された機種であること
- 登録された給湯省エネ事業者を通じて申請すること
- 一般消費者が事務局へ直接申請する制度ではない
交付申請は2026年3月31日に開始されており、予算上限に達するまで、遅くとも2026年12月31日までとされています。
「給湯省エネ2026事業」は高効率給湯器を支援する制度です。IHクッキングヒーターそのものに7万円が出る制度ではありません。
自治体独自の住宅設備補助が利用できるかは、住所・工事内容・申請時期ごとに確認してください。
太陽光とエコキュートは「昼間沸き上げ」も確認する
エコキュートは、ヒートポンプを使ってお湯を沸かし、タンクにためて使う給湯機です。
現在は、翌日の天気予報や日射量予報と連動して沸き上げを昼間へ移す機能を持つ機種や、太陽光の余剰電力活用を想定した「おひさまエコキュート」もあります。
太陽光発電がある住宅では、昼間の余剰電力を給湯へ回すことで、電力会社から購入する電気を減らせる可能性があります。
発電量は天候・季節・屋根条件で変化します。お湯の使用量に対して太陽光発電が不足すれば、電力会社から電気を購入します。
太陽光との連携を重視する場合は、エコキュートの価格だけでなく、昼間沸き上げ機能や太陽光連携の方法も比較してください。
光熱費は固定モデルではなく自宅の12か月分で比較する
「4人家族なら月○万円下がる」というモデルだけでは、自宅の結果は分かりません。
切り替えを検討するときは、少なくとも次の情報を準備すると比較しやすくなります。
- 直近12か月の電気使用量と電気料金
- 直近12か月のガス使用量とガス料金
- 都市ガスかLPガスか
- 現在の電気料金プラン
- 太陽光を設置済みなら年間発電量・売電量
- 現在のFIT単価
- 昼間に在宅している時間帯
- 給湯を多く使う時間帯
比較するのは3パターン
| 比較 | 確認する内容 |
|---|---|
| 現在のガス+電気 | 現在の年間実績 |
| IHのみ | 調理分を電気へ移した場合 |
| IH+エコキュート | 調理・給湯を電気へ移し、太陽光自家消費も考慮 |
設備代まで含めて判断する場合は、年間光熱費だけでなく、機器の購入・設置費用や補助金も合わせて比較します。
電気料金プランの変更だけで「必ず得」にはならない
オール電化向けの時間帯別料金では、一般に夜間が昼間より低く設定されているプランがあります。
一方で、どのプランが安くなるかは、家庭の使用時間帯や燃料費調整額などによって変わります。
例えば九州電力は「電化でナイト・セレクト」について、使用状況や燃料費調整額によっては、プラン変更によって必ずしも得にならない場合があると案内しています。
エコキュートを導入したから自動的に料金プランを変更するのではなく、現在の使用量と新しい料金プランの両方で試算してから決める方が安全です。
太陽光があっても停電時にIHを普通に使えるとは限らない
住宅用太陽光発電は、停電すると通常の連系運転を停止します。
自立運転機能付きのパワーコンディショナーであれば、メーカーが指定する操作を行い、自立運転用コンセントなどから電気を利用できる場合があります。
一般的な住宅用太陽光の自立運転で使える電力には上限があり、太陽光発電協会は最大1.5kWと案内しています。
IHクッキングヒーターやエコキュートなど消費電力の大きな機器を、太陽光の自立運転だけで通常どおり使えるとは限りません。
停電時にどの回路を使えるかは、太陽光・蓄電池・パワーコンディショナーの仕様によって異なります。
IHへ切り替える前に確認したいこと
- 1現在の電気・ガス使用量を確認
12か月分の請求明細を確認し、どの季節に電気・ガスを多く使っているか整理します。
- 2IHだけか、給湯まで電化するか決める
IHだけ替える場合と、ガス給湯器をエコキュートへ変更する場合を分けて見積もります。
- 3電気設備と設置場所を確認
IH用の電源、分電盤、配線、エコキュートのタンク・ヒートポンプユニットを設置できる場所などを現地で確認します。
- 4対象補助金を契約前に確認
国・自治体の制度ごとに、対象製品、登録事業者、契約・着工条件などが異なります。工事を始める前に確認してください。
- 5同じ工事範囲で見積もりを比較
本体価格だけでなく、電気工事、配管、既存設備撤去、保証などを含めた総額を比較します。
- 6料金プランと運転設定を確認
導入後は、電力会社の料金プランとエコキュートの沸き上げ時間を確認し、太陽光発電を生かせる運用を検討します。
IH・オール電化と太陽光発電でよくある質問
一律には判断できません。ガス給湯器を残す場合はガス契約も続くため、IH単体と給湯まで電化する場合は分けて比較してください。
昼間にIHを使うと発電した電気を自家消費できる場合があります。ただし現在の売電単価、電気料金、調理時間によって経済性は変わります。
2026年度に認定を受ける10kW未満の住宅用太陽光は、1~4年目24円/kWh、5~10年目8.3円/kWhです。すでに設置済みの設備は、認定時期・契約条件に応じた単価を確認してください。
「給湯省エネ2026事業」では、対象エコキュートの基本補助額は7万円/台で、性能要件を満たす機種には3万円/台の加算があります。対象製品・登録事業者などの条件があります。
機種と鍋の材質・形状によって異なります。鉄・ステンレス対応IHとオールメタル対応IHでも対応する鍋が異なるため、購入予定機種のメーカー仕様を確認してください。
必ず使えるわけではありません。太陽光単体の自立運転では利用できる出力やコンセントが限られます。停電時にIHなどを利用したい場合は、蓄電池を含めた設備構成と非常時の出力を確認してください。
住宅の電気設備や設置場所が対応できれば追加できます。既設太陽光の発電量・余剰売電量も確認すると、エコキュートの昼間沸き上げとの相性を判断しやすくなります。
まとめ|IHだけで判断せず、給湯・太陽光・料金プランまで一緒に確認
- IHだけ替えても、ガス給湯器を残せばガス契約は続く
- 給湯までエコキュートへ替えると電気使用量が大きく変わる
- 2026年度FITは新規認定で1~4年目24円/kWh、5~10年目8.3円/kWh
- 既設太陽光は現在の売電契約を確認する
- エコキュートは2026年度の国補助対象になる場合がある
- 光熱費は固定の家族モデルではなく12か月分の実績で比較する
- 電気料金プランを変えれば必ず安くなるわけではない
- 停電時に使える電気は設備構成によって異なる
IH・エコキュート・太陽光の組み合わせが合うかどうかは、現在の光熱費、太陽光発電量、ガス種別、住宅の電気設備などによって変わります。
一般的な考え方を確認したうえで、自宅ではどこまで電化するのがよいかを見積もりと光熱費の両方から比較してください。
主な公的・公式確認先
- 経済産業省|2026年度FIT・FIP価格
- 給湯省エネ2026事業|公式サイト
- 給湯省エネ2026事業|エコキュートの対象要件・補助額
- 資源エネルギー庁|太陽光発電の自家消費
- 太陽光発電協会|停電時の自立運転
- 九州電力|電化でナイト・セレクト
掲載内容は2026年8月14日時点で確認しています。電気料金、補助制度、対象製品、受付状況は変更される場合があるため、契約・工事前には最新情報をご確認ください。
