新FIT制度を完全解説|初期投資支援スキーム(24円→8.3円)のしくみと最適戦略

NEW FIT SYSTEM

「太陽光の売電価格、下がったんでしょ? もう遅くない?」
この質問が一番多い。そして、一番もったいない誤解です。

確かに、2025年上半期までのFIT売電価格は15円/kWh。2012年の42円と比べれば大幅に下がりました。でも──2025年10月から制度が根本的に変わった。初期4年間は24円/kWh。旧制度の1.6倍。

国が「太陽光、もっと導入してくれ」と本気で制度を変えた。名前は「初期投資支援スキーム」。この制度の存在を知らずに「もう遅い」と判断するのが、今一番もったいないパターンです。

「制度の話は難しそう…」と思った方。結論は3行です。下のカードをどうぞ。

結論 ─ 新FIT制度のポイント3つ

初期4年24円 → 5年目以降8.3円。蓄電池は5年目に入れるのが最適解。

初期4年間

24円/kWh

5〜10年目

8.3円/kWh

11年目以降(卒FIT)

7〜9円/kWh

住宅用(10kW未満)。2025年10月以降の認定申請分から適用。2026年度も同じ単価。補助期間は10年間(変更なし)。

※本記事は2026年2月時点の情報です。出典:経産省 調達価格等算定委員会(第100〜102回)資料。

SECTION 01

初期投資支援スキームとは?30秒でわかるしくみ

従来のFIT制度は「10年間ずっと同じ売電価格」でした。新FIT制度は「前半高く、後半低く」──2段階に分かれます。

新旧FIT制度の比較(住宅用・10kW未満)

旧制度(2025年上半期まで)新制度(2025年10月〜)
売電価格15円/kWh × 10年間24円/kWh × 4年
+ 8.3円/kWh × 6年
10年間平均15円/kWh14.58円/kWh
補助期間10年間10年間(変更なし)
対象住宅用(10kW未満)住宅用(10kW未満)
余剰売電要件自家消費後の余剰分を売電同じ(変更なし)

10年間の平均では14.58円と旧制度の15円より若干低い。しかし──ポイントは「初期4年間に売電収入が集中する」こと。

なぜ前半を高く設定したのか?

国の狙いは「投資回収の早期化」。太陽光の設置費用(100〜150万円)を早く回収できれば、住宅ローンの審査や家計の負担感が軽くなる。金融機関も融資しやすくなる。つまり「導入のハードルを下げる」ための制度設計です。

もうひとつの狙いは「5年目以降の蓄電池導入を促す」こと。5年目から売電単価が8.3円に下がると、売電するより蓄電池に貯めて自家消費した方がお得になる。国は太陽光+蓄電池のセット普及を狙っているわけです。

経験
「24円って、結局10年平均で見たら旧制度より低いじゃないか」──そうツッコまれることがあります。数字だけ見ればその通り。でも、大事なのは「いつお金が入るか」。最初の4年間で設置費用の大部分を回収できる安心感は、10年間均一でダラダラ回収するのとは別物。特に住宅ローンと並行している方には、この前倒しが効きます。

SECTION 02

10年間の売電収入シミュレーション

5kWシステム・年間発電量5,400kWh・自家消費率35%で、旧制度と新制度の売電収入を比較します。

5kWシステム|10年間の売電収入比較

旧制度(15円×10年)新制度(24円×4年+8.3円×6年)
年間発電量5,400kWh
自家消費量(35%)1,890kWh → 電気代削減
売電量(65%)3,510kWh/年
1〜4年目の売電収入15円×3,510kWh×4年
21.1万円
24円×3,510kWh×4年
33.7万円
5〜10年目の売電収入15円×3,510kWh×6年
31.6万円
8.3円×3,510kWh×6年
17.5万円
10年間の売電収入合計52.7万円51.2万円
4年目終了時点の累計売電収入21.1万円33.7万円(+12.6万円)

10年間合計はほぼ同じ。違いは「いつ入るか」。新制度は4年目までに12.6万円多く回収できる。

売電収入だけ見ると10年間合計はほぼ変わらない。しかし、自家消費による電気代削減(年間約5.5万円)を加えると、4年目時点で設置費用の約60%を回収。旧制度だと4年時点で約45%。この「回収スピードの差」が制度のミソです。

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SECTION 03

蓄電池は5年目に入れるのが最適解

新FIT制度で最も重要な戦略がこれ。初期4年間は蓄電池なしで売電に集中。5年目に蓄電池を追加して自家消費にシフト。

なぜ5年目なのか?

売電単価 vs 自家消費価値の比較

期間売電単価自家消費の価値どちらが得?
1〜4年目24円/kWh約29円/kWhほぼ同等(売電の方が手間なしでラク)
5〜10年目8.3円/kWh約29円/kWh自家消費が圧倒的にお得(3.5倍)
11年目〜(卒FIT)7〜9円/kWh約29円/kWh自家消費が圧倒的にお得

自家消費の価値=九州電力の買電単価(電力量料金25.87円+再エネ賦課金3.49円≒29円/kWh)。売るより使った方が得な状態。

初期4年間は売電24円で効率よく稼ぎ、設置費用を回収。5年目に売電が8.3円に下がったタイミングで蓄電池を導入し、「売る」から「貯めて使う」に切り替える。この2段階戦略が新FIT制度の最適解です。

アドバイス
「最初から蓄電池を入れた方がいいのでは?」と聞かれますが、初期4年間は売電24円と自家消費29円がほぼ同じ。蓄電池を入れても経済効果は限定的。さらに蓄電池は年々価格が下がっている。4年待てば、同じ予算でより高性能な蓄電池が買える。5年目導入が「タイミング」「経済性」「技術進歩」のすべてで最適です。

SECTION 04

旧制度(15円)と新制度、結局どちらが得?

すでに2025年上半期に旧制度(15円×10年)で認定を受けた方と、新制度(24円×4年+8.3円×6年)で認定を受ける方、どちらが得かを比較します。

5kWシステム・25年間の総経済メリット

新制度+蓄電池5年目導入が最大

旧制度(蓄電池なし)

+180万円

新制度(蓄電池なし)

+175万円

新制度+蓄電池5年目

+210万円

25年間の電気代削減+売電収入−設置費用(補助金込み)の合計。蓄電池は10kWh・5年目に追加(補助金込み実質70万円想定)。概算。

蓄電池なし同士なら、旧制度と新制度はほぼ同等。しかし新制度+蓄電池5年目導入だと+210万円で最大。新制度が「蓄電池を後から追加する」前提で設計されていることがよくわかります。

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SECTION 05

申請のタイミングと手続き

新FIT制度のスケジュール

時期内容
〜2025年9月旧制度(15円/kWh×10年)で認定申請可能
2025年10月〜新制度(24円×4年+8.3円×6年)適用開始
2026年度新制度が継続適用(同じ売電単価)

2026年2月現在、新制度での認定申請を受付中です。申請から認定まで通常1〜2ヶ月。設置工事から売電開始まで含めると、相談から発電開始まで約3〜4ヶ月が目安。

手続きの流れ:業者に相談→現地調査→見積もり→契約→FIT認定申請→電力会社への接続申請→工事→売電開始。当社ではFIT認定申請と電力会社への接続申請を代行(無料)しています。

FAQ

よくある質問

旧制度で認定済みの場合、新制度に切り替えられる?
切り替えできません。新制度は2025年10月以降に新たに認定申請した案件が対象。すでに旧制度で認定済みの場合は15円/kWh×10年がそのまま適用されます。
10年間の売電収入合計が減るなら、新制度は損では?
10年間の売電合計はほぼ同じ(旧52.7万円 vs 新51.2万円)。差は1.5万円。しかし新制度は4年目までに12.6万円多く回収できる。さらに5年目に蓄電池を入れると25年トータルでは新制度の方がお得になります。
5年目に売電8.3円になったら赤字にならない?
赤字にはなりません。売電収入は減りますが、自家消費による電気代削減(約29円/kWh相当)は変わらない。売電が下がった分は蓄電池を入れて自家消費率を上げれば、むしろメリットが増えます。→ 電気代シミュレーション
2027年度以降も同じ売電価格?
未定です。初期投資支援スキームの枠組みは維持される見込みですが、具体的な単価は毎年の調達価格等算定委員会で決定されます。ただし、一度認定された案件は認定時の単価が維持されるので、単価が変わる前に認定を受けておく方が安心です。
補助金と新FIT制度は併用できる?
併用できます。新FIT制度は「売電価格の制度」、補助金は「設置費用の補助」で別の制度。国のDR補助金(蓄電池)、県・市の補助金とも併用可能。→ 補助金一覧
卒FIT後(11年目以降)はどうなる?
FIT期間終了後は、各電力会社の買取価格(九州電力の場合7〜9円/kWh程度)で売電するか、全量自家消費に切り替え。蓄電池があれば自家消費中心(29円/kWhの価値)で運用できるので、卒FIT後も十分なメリットが続きます。

SUMMARY

まとめ

冒頭の問いに戻ります。「太陽光の売電価格、下がったんでしょ? もう遅くない?」──答えはNO新FIT制度で初期4年は24円。投資回収は加速。蓄電池5年目導入で25年間+210万円。「もう遅い」は最も高くつく誤解です。

この記事のポイント

  • 新FIT制度は初期4年24円/kWh → 5〜10年目8.3円/kWhの2段階
  • 10年間合計の売電収入は旧制度とほぼ同じ。違いは回収スピード
  • 最適戦略は「初期4年は売電で稼ぐ → 5年目に蓄電池で自家消費シフト」
  • 新制度+蓄電池5年目導入で25年間+210万円(最大メリット)
  • 補助金との併用可能。2026年度も同じ単価が適用
  • 認定済み案件は単価が維持される。早めの認定が安心
電気工事士 緒方より
新FIT制度は、正直に言って「よく考えられた制度」です。初期4年で設置費用を回収しやすくして、5年目以降は蓄電池で自家消費に切り替える。国が「太陽光+蓄電池」のセット普及を本気で推し進めている。制度が追い風の今が、太陽光導入のタイミングとしては過去10年で最も合理的だと思います。

緒方

電気工事士 / 太陽光補助金ドットコム 技術監修

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