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「太陽光つけたんだけど、確定申告って必要なの?」——友人の田中さん(福岡市・40代会社員)が、年末に突然LINEしてきました。売電を始めて2年目。「20万円がどうこう」という話を見かけて、急に不安になったそうです。結論を言うと、田中さんは確定申告しなくて大丈夫でした。ただし、ある1つの手続きだけは必要だったんです。
この記事では、太陽光発電で確定申告が「不要」になるケースをまとめて解説します。よく聞く「20万円ルール」の正しい意味と、みんなが見落とす住民税の落とし穴。さらに、「不要だと思ってたけど実は必要だった」というパターンまで。ここを読めば、自分が申告すべきかどうか、5分で判断できます。
※この記事は確定申告が「不要」なケースに特化しています。申告のやり方・手順は太陽光発電の確定申告ガイドをご覧ください。
SECTION 01
結論:住宅用太陽光は確定申告不要がほとんど
最初にはっきり言います。10kW未満の住宅用太陽光発電をつけている会社員の方は、ほとんどの場合、所得税の確定申告は不要です。
理由はシンプル。住宅用の太陽光で余剰売電しても、経費を差し引いた「所得」が年間20万円を超えることが、まずないからです。
ここで大事なのは「収入」と「所得」の違い。売電で振り込まれた金額がそのまま所得になるわけじゃない。ここを間違えると、本来払わなくていい税金を払ってしまうことになります。言ってみれば、スーパーのレジで値引きシールを見落とすのと同じ。損してるのに気づかないパターンです。
国税庁の質疑応答でも、給与所得者が自宅に設置した太陽光発電の余剰電力を売った場合は「雑所得」に該当するとされています(出典:国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」)。
雑所得の確定申告が不要になる条件はこうです。
- 給与所得者で、勤務先の年末調整を受けている
- 給与・退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下
- 給与の年間収入が2,000万円以下
この3つを満たしていれば、所得税の確定申告は不要。住宅用の太陽光を自宅に乗せている会社員なら、ほぼ全員がこれに当てはまります。
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SECTION 02
「20万円ルール」の正しい理解と計算方法
「売電収入が20万円を超えたら確定申告」——これ、半分正解で半分間違いです。正確には「売電の所得(=収入−経費)」が20万円を超えたら申告が必要、ということ。
「収入」と「所得」を混同すると損をする
まず、計算式を見てください。
売電所得の計算式
売電所得 = 年間売電収入 − 必要経費(減価償却費 × 売電割合)
※減価償却費 = 設備取得価額 × 償却率0.059(定額法・耐用年数17年)
※売電割合 = 年間売電量 ÷ 年間総発電量
たとえば、200万円で太陽光を設置した場合。年間の減価償却費は200万円×0.059=約11.8万円。これに売電割合(仮に50%)をかけると、経費は約5.9万円になる。売電収入が年間10万円なら、所得はたったの4.1万円。20万円なんて全然超えません。
実例 ─ 福岡市 田中さん(4人家族・5kW設置・築8年)
売電収入は年間10万円あるけど、所得は4万円台
年間売電収入
10万円
経費差引後の所得
4.1万円
設備費200万円、自家消費50%の場合。減価償却で年間5.9万円を経費計上。確定申告は不要。※実績に基づくイメージです
経費に計上できるもの一覧
| 経費の種類 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 減価償却費 | 設備購入費を17年で分割計上 | 最大の経費。売電割合分のみ |
| 点検・メンテナンス費 | 定期点検やパネル清掃代 | 領収書を保管すること |
| パワコン修理費 | パワーコンディショナーの修繕代 | 発生した年に全額経費可 |
| 保険料 | 太陽光パネルの損害保険料 | 売電割合分を按分 |
| ローン利息 | 設備導入ローンの利息部分 | 元金は経費にならない |
減価償却費
点検・メンテナンス費
パワコン修理・保険・ローン利息
これだけ経費があるので、5kW前後の住宅用太陽光で所得が20万円を超えるのは現実的にかなり難しい。正直、経費を忘れて「収入だけ」で判断してしまうほうが危ない。本来不要な確定申告をしてしまったり、無駄な税金を払うことになりかねません。
アドバイス
「確定申告が必要かどうか」を判断するために、まず売電の検針票と設備の購入費用(補助金差引後)を用意してください。この2つさえあれば、5分で計算できます。「多分不要だろう」で放置するより、一度ちゃんと計算しておくと安心ですよ。
SECTION 03
確定申告が不要でも住民税の申告は必要——最大の落とし穴
ここ、ものすごく多くの人が見落としています。正直、税理士に聞いても「知らなかった」という人がいるくらい。
所得税の確定申告が不要でも、住民税(市県民税)の申告は必要になるケースがあります。
所得税の「20万円以下は申告不要」というルールは、あくまで所得税の話。住民税にはこのルールがありません。売電で1円でも所得があれば、住民税の申告が求められる可能性があるんです。
| 項目 | 所得税(確定申告) | 住民税 |
|---|---|---|
| 20万円以下の雑所得 | 申告不要 | 申告が必要 |
| 申告先 | 税務署 | 市区町村役場 |
| 申告方法 | 確定申告書を提出 | 住民税申告書を提出 |
| 確定申告をした場合 | — | 住民税申告は不要(データが自動連携) |
所得税(確定申告)
住民税
ただし、実務上の話をすると——住宅用太陽光の売電所得が数万円程度の場合、住民税への影響はごくわずか(所得×約10%=数千円程度)。自治体によっては「少額なら申告不要」としているところもあります。心配なら、お住まいの自治体に確認するのが一番確実です。
住民税の落とし穴を回避する方法
もし確定申告をした場合は、住民税の申告は不要になります。データが税務署から自動で市区町村に連携されるからです。「住民税の申告だけするのが面倒」という方は、いっそ確定申告してしまうのも一つの手。売電所得が20万円以下でも、確定申告は「してもいい」——禁止されているわけではありません。
SECTION 04
「不要だと思ったら必要だった」5つのケース
確定申告が不要なパターンは分かった。じゃあ逆に、「不要だろう」と思い込んでいたけど実は必要だった——そんなケースも知っておくべきです。ここを知らないと、無申告加算税(最大20%)や延滞税というペナルティに直面するかもしれません。
-
1
副業の所得と合算して20万円を超えた
売電の所得が5万円でも、メルカリの転売やUberEatsで16万円稼いでいたら合計21万円。確定申告が必要です。20万円ルールは「雑所得の合計」で判定されるのがミソ。
-
2
年収2,000万円を超えている
給与の年間収入が2,000万円を超える方は、そもそも年末調整の対象外。売電所得が数万円でも、自分で確定申告する必要があります。
-
3
自営業・フリーランスの方
個人事業主は、売電所得の金額にかかわらず確定申告が必要です(他の事業所得と合算して申告)。「20万円以下は不要」は給与所得者だけの特例。ここ、けっこう勘違いされています。
-
4
10kW以上の産業用太陽光を設置している
10kW以上のシステムは売電収入が大きくなるため、経費を差し引いても所得が20万円を超える可能性が高い。事業所得として申告が必要になる場合もあります。
-
5
住宅ローン控除の1年目で確定申告する場合
意外と見落とされるケースです。住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要。その際、20万円以下の雑所得も含めて申告しなければなりません。「どうせ確定申告するなら」と、売電分を省略するのはNG。
実例 ─ 北九州市 山本さん(会社員・副業あり・4.5kW設置)
売電だけなら不要だったが、副業との合算で申告が必要に
売電所得
3.5万円
副業所得
18万円
合計21.5万円で20万円超。確定申告が必要になったケース。※実績に基づくイメージです
補助金3重取りとは
国の補助金、県の補助金、市の補助金。この3つは、併用できるケースがほとんどです。うまく組み合わせれば、最大100万円以上の補助金になることも。「1つだけ」で申請している人が、実はかなり多いんです。
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SECTION 05
確定申告不要でも知っておくべき3つのこと
「不要だったから何もしなくていい」——と思いたいところですが、あと3つだけ押さえてほしいことがあります。
1. 帳簿と領収書は5年間保管を
確定申告が不要でも、売電の記録は残しておいてください。将来、副業を始めたり、設備を増設したりして所得が増えた場合に、過去の減価償却費の計算が必要になることがあります。電力会社の検針票、設備の購入契約書、メンテナンスの領収書——この3つは最低限保管しておくべきです。
2. 補助金は「収入」ではなく「一時所得」
太陽光設置時にもらった補助金は、売電収入とは別に「一時所得」として扱われます。ただし一時所得には50万円の特別控除があるため、50万円以下なら課税されません。住宅用太陽光の補助金でこれを超えることはまずないので、心配は不要。ただし、設備の取得価額からは補助金分を引いて計算する必要があります。これを忘れると、減価償却費が実態より多くなって正確な所得計算ができません。
3. 固定資産税も意外と「不要」
10kW未満の住宅用太陽光で、屋根の上にパネルを載せているタイプ(架台型)なら、固定資産税はかかりません。ただし屋根一体型のパネルは建物の一部とみなされ、固定資産税の対象になる場合があります。自分のパネルがどちらのタイプか、一度確認しておくと安心です。
アドバイス
「確定申告が不要」と分かっても、年に一度、売電収入と簡単な経費計算だけはしておくことをおすすめします。5分で終わります。副業を始めた年にいきなり計算しようとすると、過去の減価償却がどこまで進んでいるか分からなくなるんです。毎年やっていれば、手間はほぼゼロですよ。
FAQ
よくある質問
SUMMARY
まとめ
この記事を最後まで読んだあなたは、もう「確定申告が必要かどうか分からない」まま不安を抱えることはないはずです。最後にポイントを整理します。
この記事のポイントまとめ
- 10kW未満の住宅用太陽光 × 給与所得者 → ほとんどの場合、確定申告は不要
- 「20万円ルール」は売電「収入」ではなく「所得」で判定。経費を引くのがカギ
- 確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合がある(最大の落とし穴)
- 副業がある人・年収2,000万円超の人・自営業の人は、20万円以下でも申告が必要
- 帳簿と領収書は念のため5年保管しておく
確定申告の要否をきちんと把握していれば、余計な税金を払うこともなければ、ペナルティを受けることもない。知っているか知らないか——この差だけで、何万円も変わることがあります。
最後に
17年間この業界にいますが、税金のことを「なんとなく」で済ませている方がびっくりするほど多い。でも逆に言えば、一度ちゃんと理解してしまえばあとは毎年同じことの繰り返しです。分からないことがあれば、最寄りの税務署は無料で相談に乗ってくれますし、私たちも補助金まわりのことなら何でもお答えします。まずは一歩、確認してみてください。
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※本記事は2026年2月時点の情報に基づいています。税制は年度ごとに変更されることがあります。最新情報は国税庁のウェブサイトや最寄りの税務署でご確認ください。本記事は税務アドバイスを目的としたものではなく、具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。
経験から
相談に来る方の9割以上が「売電収入=申告が必要な金額」だと思い込んでいます。実際には減価償却費を引くと所得はかなり小さくなる。年間の売電が12万円あっても、経費を引いたら実質3〜4万円——なんてことはザラです。