自宅の太陽光発電で売電収入があっても、それだけで必ず所得税の確定申告が必要になるわけではありません。
給与を1か所から受けている給与所得者で、給与の年間収入が2,000万円以下、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下など、一定の条件を満たす場合は、所得税の確定申告をしなくてよいことがあります。
ここでいう20万円は「売電で振り込まれた金額」ではなく、必要経費を差し引いた所得を、ほかの対象所得と合わせて判定する金額です。
医療費控除や住宅ローン控除などのために確定申告をする場合は、20万円以下で申告不要だった売電所得も申告に含めます。
また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。
太陽光発電の確定申告は「20万円の売電収入」で決まらない
よくある誤解が、「売電収入が20万円を超えたら確定申告」という考え方です。
給与所得者に関する20万円の基準は、売電収入だけを見るものではありません。
給与所得・退職所得以外の所得金額の合計
売電による所得のほか、副業など対象となるほかの所得があれば、それらも含めて確認します。
| 主な状況 | 所得税の確定申告 |
|---|---|
| 給与を1か所から受け、給与収入2,000万円以下で、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下などの条件を満たす | 原則として不要となる場合があります |
| 給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える | 原則として申告が必要 |
| 給与の年間収入が2,000万円を超える | 確定申告が必要 |
| 給与を2か所以上から受けている | 年末調整されなかった給与なども含め、別の判定が必要 |
| 医療費控除などのため自分から確定申告をする | 20万円以下の売電所得も申告に含める |
給与の受け取り方やほかの所得によって条件が変わるため、「太陽光の売電だけが20万円以下だから不要」と判断しないようにしてください。
家庭用太陽光の余剰売電は一般に「雑所得」
国税庁では、給与所得者が自宅の太陽光発電設備を家庭用として使用し、余った電気を電力会社へ売却している場合、その売電収入は一般に雑所得に該当するとしています。
売電による所得 = 売電収入 − 必要経費
「収入」は電力会社から受け取った売電代金です。
一方の「所得」は、売電収入から、その収入を得るために必要となった経費を差し引いた後の金額です。
「10kW未満なら申告不要」「10kW以上なら必ず事業所得」という基準ではありません。
設備の利用状況、売電方法、事業として行っているか、本人のほかの所得などによって税務上の扱いを確認します。
太陽光発電設備の減価償却はどう考える?
国税庁は、自宅に設置した太陽光発電設備について、一般に「機械及び装置」に分類し、質疑事例では耐用年数を17年としています。
ただし、住宅用太陽光では発電した電気の一部を家庭で使い、余った分だけ売ることがあります。
この場合、設備全体の減価償却費をそのまま必要経費にするのではなく、国税庁は、発電量のうち売却した電力量の割合を業務用割合として計算する考え方を示しています。
- 太陽光発電設備の取得価額
- 設備を取得・使用開始した時期
- 年間の総発電量
- 年間の売却電力量
- 設備取得時に補助金を受けているか
そのため、「設備価格に一定の率を掛けるだけ」で全員同じ所得になるわけではありません。
必要経費は「売電のために必要な部分」で考える
雑所得の必要経費には、その収入を得るために直接要した費用や、その業務について生じた費用を算入できます。
ただし、家庭用太陽光では自家消費にも設備を使っているため、家庭利用と売電の両方に関係する費用については、売電に対応する部分を合理的に区分する必要があります。
設備の修繕費、保険料、借入金利息などが発生していても、「太陽光に関する支出だからすべて全額経費」とは限りません。
支出内容と売電との関係が分かる契約書、領収書、請求書などを残しておくと確認しやすくなります。
20万円以下でも確定申告に売電所得を含めるケース
給与所得者の20万円以下の申告不要制度は、「20万円以下の所得を確定申告書に書かなくてよい」という意味ではありません。
もともと確定申告をしなくてよい人が、医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、20万円以下だった売電所得も含めて申告します。
医療費控除を受ける
医療費控除のために還付申告をする場合、売電所得も合わせて申告します。
住宅ローン控除などで確定申告する
住宅借入金等特別控除などを受けるために確定申告する場合も、申告する所得を一部だけ省略することはできません。
寄附金控除などで確定申告する
寄附金控除などのため確定申告を行う場合も同様です。
20万円以下の制度は、一定条件の給与所得者が「確定申告をしなくてよい」ための規定です。確定申告を行う場合には、対象となる所得を含めて申告します。
所得税が申告不要でも住民税は別に確認
所得税で使われる給与所得者の20万円以下の申告不要制度が、そのまま住民税にも適用されるわけではありません。
市区町村によって申告案内が設けられているため、お住まいの自治体で確認してください。
例えば福岡市では、給与所得者で給与所得以外に雑所得などがあった人を、市民税・県民税の申告が必要な人として案内しています。
一方、所得税の確定申告書を提出した場合は、別途市民税・県民税申告をする必要がない場合があります。
具体的な提出方法や申告不要となる条件は自治体によって確認が必要です。
会社員以外・事業で太陽光を使っている場合
個人事業主・フリーランス
給与所得者向けの「給与・退職所得以外の所得が20万円以下なら原則確定申告不要」という基準だけで判断することはできません。
事業所得やほかの所得、所得控除などを含めて、その年の確定申告が必要か確認します。
店舗兼住宅で太陽光を使っている
発電した電気を店舗など事業にも使用している場合、売電収入が事業所得の付随収入として扱われることがあります。
賃貸アパートに設置している
賃貸アパートの共用部分で電気を使用し、余剰電力を売却している場合などは、不動産所得に係る収入として扱われることがあります。
太陽光設備をどのように使っているかによって所得区分が変わる場合があります。自宅用以外の利用がある場合は、税務署や税理士への確認が安心です。
太陽光の補助金を受けた場合は減価償却にも注意
太陽光発電設備の購入時に国や地方公共団体から補助金を受けている場合は、「補助金だから一律に一時所得」と決めつけないよう注意が必要です。
固定資産の取得や改良に充てるための国・地方公共団体の補助金などについては、一定の手続きを行うことで、その固定資産に充てた部分を総収入金額に算入しない特例を受けられる場合があります。
この特例を受けた場合、減価償却の基礎になる取得費は、設備の取得に要した金額から、総収入金額に算入しなかった補助金額を差し引いて計算します。
国庫補助金等の総収入金額不算入の適用を受ける場合は、所定の明細書を添付した確定申告書の提出が必要です。
受け取った補助金の制度や使用目的によって扱いが異なる可能性があるため、実際の処理は税務署または税理士へ確認してください。
自分が確定申告する必要があるか確認する順番
- 1年間の売電収入を確認する
電力会社の売電明細などから、その年に受け取った売電収入を確認します。
- 2売電に対応する必要経費を確認する
減価償却費などを含め、売電所得を計算します。自家消費をしている場合は売電に対応する割合も確認します。
- 3ほかの所得を合わせて確認する
給与所得・退職所得以外に副業などの所得がある場合は、売電所得だけでなく合計額で確認します。
- 4確定申告をする別の理由がないか確認する
医療費控除、住宅ローン控除、寄附金控除などのため確定申告をする場合は、20万円以下の売電所得も申告に含めます。
- 5住民税を自治体に確認する
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。市区町村の案内を確認してください。
太陽光発電の確定申告でよくある質問
売電「収入」が20万円以下かどうかだけでは判断できません。一定の給与所得者では、売電収入から必要経費を差し引いた所得と、ほかの給与・退職所得以外の所得を合計して判定します。
必ずではありません。給与収入が2,000万円を超える場合、複数の勤務先から給与を受けている場合、ほかの理由で確定申告する場合などは条件が変わります。
省略できません。20万円以下のため本来確定申告不要だった場合でも、自分から確定申告をする場合は、その売電所得も含めて申告します。
確定申告を行う場合は、申告対象となる売電所得も含めて申告します。20万円以下だから売電分だけ省略できるという制度ではありません。
10kW未満という設備容量だけでは決まりません。本人の給与やその他の所得、必要経費、設備の利用状況などから判断します。
設備容量だけで所得区分が決まるわけではありません。国税庁は、全量売電でも事業として行っていない場合は雑所得になることがあるとしています。
給与所得者向けの20万円以下の申告不要制度だけで判断することはできません。事業所得やその他の所得を含め、その年の確定申告義務を確認してください。
所得税の20万円以下の申告不要制度が住民税にもそのまま適用されるわけではありません。お住まいの市区町村で住民税申告の要否を確認してください。
国や自治体から設備取得のための補助金を受けた場合、一定の手続きにより総収入金額に算入しない特例を利用できる場合があります。補助金を一律に一時所得として扱わず、制度内容と税務上の処理を確認してください。
まとめ|20万円は「売電収入」ではなく所得全体で確認する
- 家庭用太陽光の余剰売電は、給与所得者では一般に雑所得
- 20万円は売電収入そのものではなく、給与・退職所得以外の所得金額の合計で確認する
- 太陽光設備の容量だけで確定申告の要否は決まらない
- 太陽光発電設備の耐用年数は、国税庁の質疑事例では一般に17年
- 自家消費がある場合、減価償却費は売電に対応する割合を考慮する
- 医療費控除などで確定申告する場合は、20万円以下の売電所得も申告する
- 所得税が申告不要でも、住民税は自治体へ確認する
- 設備取得の補助金は、一律に「一時所得50万円控除」と考えない
税務上の判断は、給与の状況、副業の有無、太陽光設備の使い方、受け取った補助金などによって変わります。
自分の申告要否や税額について判断に迷う場合は、税務署や税理士などの専門家へ確認してください。
税務申告そのものではなく、現在利用できる可能性がある太陽光・蓄電池の補助制度については、住所や設備条件を確認してご案内しています。
利用できる補助制度について相談する主な公的確認先
掲載内容は2026年8月14日時点で確認しています。本記事は一般的な制度の説明であり、個別の税務判断や税額計算を行うものではありません。
