IS IT TOO LATE?
「もう太陽光は遅いんじゃない?」
FIT価格が48円→16円に下がった。もう儲からない。今さら遅い——こういう声をよく聞きます。ご家族やご近所から「今から付けても意味ないよ」と言われて、迷っている方もいるでしょう。
気持ちはわかります。でも、数字を見てから判断してください。
2012年 vs 2026年の比較
| 2012年 | 2026年 | |
|---|---|---|
| FIT売電単価 | 42円/kWh | 16円/kWh |
| 設備費用(5kW) | 約250〜300万円 | 約125〜150万円 |
| kW単価 | 50〜60万円 | 25〜30万円 |
| 買う電気の単価 | 約22円/kWh | 約30円/kWh |
| 投資回収年数 | 約10〜12年 | 約7〜10年 |
| 結論 | 回収年数はむしろ短くなっている | |
FIT価格は下がったが、設備費用はそれ以上に下がった。さらに電気代が上がっているから自家消費の価値が増えている。トータルで見ると、2026年の方が投資効率は良い。
「遅い」どころか、今が一番バランスの良いタイミングかもしれません。その理由を5つ、数字で解説します。
SECTION 01
2026年でも得する理由5つ
理由①:設備費用が半額以下になった
2012年のkW単価は50〜60万円。2026年は25〜30万円。半額以下。FIT価格が42円→16円に下がっても、設備が半額ならトータルの投資効率は変わらない。むしろ初期投資が少ない分、リスクは小さくなっている。
理由②:電気代が上がり続けている
九電の電気代は2019年の約24円/kWhから2025年の約31円/kWhへ。6年で約30%上昇(資源エネルギー庁)。再エネ賦課金、燃料費調整額、送配電コスト——電気代が下がる材料はほぼない。
自家消費1kWhの価値は「買わずに済む電気代」。電気代が上がるほど、自家消費の価値は上がる。電気代が高い今こそ、太陽光の自家消費メリットが最大化する(→ 自家消費と売電の違い)。
理由③:蓄電池とのセット導入が現実的になった
2012年当時、家庭用蓄電池は200万円以上。一般家庭には手が出なかった。2026年は80〜130万円。補助金3重取りで実質30〜80万円に。
太陽光+蓄電池のセット導入が現実的な価格帯に入った。最初からハイブリッドパワコンで設計すれば、パワコンが1台で済むので後付けより15〜30万円安い。2026年だからこそできるセット設計(→ 蓄電池は必要?)。
理由④:補助金が充実している「今」がチャンス
国・県・市の補助金3重取りで35〜65万円。この金額が初期費用から丸ごと引かれるインパクトは大きい。
ただし補助金は永久に続くわけじゃない。再エネの普及が進めば縮小・廃止される方向。「もう少し待てば安くなる」と言う人がいるけど、設備費の値下がり以上に補助金の減額の方が大きい可能性がある。待てば待つほどお得になる保証はない。
理由⑤:パネルの変換効率が大幅に向上
2012年のパネル変換効率は14〜16%。2026年は20〜22%、BCソーラーなら26.5%(→ BCソーラーとは?)。同じ屋根面積で1.3〜1.5倍の発電量が得られる。
屋根が狭くて10年前なら「容量が足りない」と断られていた家でも、今のパネルなら十分な容量を確保できるケースが増えている。技術の進歩が「遅い」を「今がベスト」に変えた。
電気工事士の視点
10年以上この業界にいますが、「今が一番いい」は毎年思います。でも2026年が特にいいと言えるのは、設備費・蓄電池価格・補助金・電気代のバランスが最も噛み合っているから。FIT価格が高かった頃は「売電で儲ける」時代。今は「電気代を削減して守る」時代。目的が変わっただけで、メリットの大きさは変わっていません。むしろ電気代が30円を超えた今の方が、自家消費のメリットは大きい。
SECTION 02
「もう少し待った方がいい」は本当?
「パネルがもっと安くなるまで待とう」「来年にはもっといい製品が出るかも」——気持ちはわかりますが、待つことにもコストがある。
1年待つと失うもの
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1年分の電気代節約(逸失) | 約6〜9万円 |
| 1年分の売電収入(逸失) | 約3〜5万円 |
| 補助金の減額リスク | 5〜15万円(予算枠縮小の場合) |
| 1年待つコスト | 約14〜29万円 |
一方、1年待ってパネルが安くなる額は?過去3年の下落率から推計すると年間2〜5万円程度。待っても得するどころか、差し引きで10〜25万円の損になる可能性が高い。
「ベストタイミングを待つ」のは一見賢そうに見えるけど、太陽光の場合は「待つコスト」の方が「値下がりメリット」より大きい。検討が済んでいるなら、早く設置した方が経済的にはお得。
2030年以降はどうなる?
FIT制度は2032年度で終了が予定されている。その後はFIP制度や自家消費型が主流に。補助金も縮小傾向。つまり「国が支援してくれる最後の時期」が今。2030年以降に設置する人は、今より条件が厳しくなる可能性がある。
電気工事士の視点
「来年まで待つ」と言っていたお客様が、翌年来られた時に計算すると「あの時決めていれば12万円得だったのに」となるケースを何度も見ています。パネルの値下がりは年々緩やかになっていて、劇的に安くなる時期はもう過ぎた。逆に補助金は予算次第でいきなり減額・廃止される。「いつかやるなら今」が数字上の正解です。ただし、焦って不適切な業者で契約するくらいなら待った方がマシ。「正しい業者選びを早くやる」が最適解。
SECTION 03
2026年設置の具体シミュレーション(福岡)
条件:福岡市・4人家族・5kW+蓄電池10kWh
| 設置費用(太陽光+蓄電池) | 約245万円 |
| 補助金3重取り(国・県・市) | ▲約55万円 |
| 実質初期費用 | 約190万円 |
| 年間メリット(自家消費70%+売電) | 約14.5万円 |
| 投資回収年数 | 約13年 |
| 25年間のトータルメリット | 約362万円 |
| 25年間の利益 | 約172万円のプラス |
蓄電池込みで190万円の投資に対して、25年間で172万円のプラス。投資額の約90%が利益として返ってくる。蓄電池なし(太陽光のみ)なら投資回収7〜9年、利益率はさらに高い。
しかもこの計算には電気代の上昇を含めていない。仮に年2%ずつ電気代が上がるなら、25年間のメリットは400万円を超える。「遅い」とは程遠い数字です。
SECTION 04
よくある質問(FAQ)
SUMMARY
まとめ
- FIT価格は下がったが、設備費はそれ以上に下がった。投資回収はむしろ短縮
- 電気代30円超の今、自家消費の価値は過去最高
- 蓄電池とのセット導入が現実的な価格帯に
- 補助金3重取り(35〜65万円)は今がピーク。縮小傾向
- 1年待つと14〜29万円の機会損失。値下がりメリットは2〜5万円
- 2026年は設備費・補助金・電気代のバランスが最も良い年
「遅い」と思って先延ばしにする間に、毎月の電気代は上がり続け、補助金は減り続ける。完璧なタイミングを待つより、正しい条件で今動く方が合理的。もちろん、あなたの屋根の条件が悪ければ「やめた方がいい」と正直にお伝えします。まずは数字を見てから判断してください。
電気工事士 緒方より
「2026年は遅い?」と聞かれたら、いつもこう答えています。「2012年に設置した人も、2018年に設置した人も、2024年に設置した人も、みんな得している」と。それぞれの時代で設備費とFIT価格のバランスが取れているから。2026年も同じ。違うのは、売電中心から自家消費中心に変わったこと。この発想の切り替えさえできれば、2026年が「遅い」なんてことは絶対にありません。
