太陽光パネルで火災は起きる?原因・予防・火災時の対応【2026年】

太陽光パネルの火災リスクについて、主な原因・予防策・火災時の対応をわかりやすくまとめたイメージ【2026年】

最終確認日:| NITE・消費者庁・経済産業省・消防関係機関の公開情報を確認

太陽光パネルを屋根に載せることで、火災の危険が増えるのではないかと不安になる方もいると思います。

住宅用太陽光発電でも、パネル、ケーブル、パワーコンディショナなどから発煙・発火し、火災へ至った事故は実際に報告されています。

ただし、「太陽光パネルは危険」「現在の火災確率は○%」と単純には判断できません。
近年の事故情報を見ると、火災や発煙はパネル本体だけでなく、パワーコンディショナ、配線、接続部、設置環境、自然災害による損傷など、さまざまな要因で起きています。

安全性を考えるときは、事故件数だけを見るよりも、「どこで異常が起きる可能性があるのか」「普段何を確認すればよいか」「異常や火災が起きたらどう行動するか」を知っておく方が実用的です。

太陽光発電の火災はどれくらい起きている?

2025年8月にNITE(製品評価技術基盤機構)が公表した資料では、NITE製品安全センターが受け付けた製品事故情報のうち、2015年度から2024年度までの10年間に、太陽電池発電設備に関する事故が260件報告されています。

そのうち239件が火災とされています。

事故が報告された設備件数
パワーコンディショナ170件
太陽電池モジュール41件
接続ケーブル18件
蓄電池14件
その他17件

※NITE製品安全センターが受け付けた2015~2024年度の製品事故情報。全国で発生したすべての事故件数を表すものではありません。

このデータで目立つのは、太陽光パネルそのものよりも、パワーコンディショナに関する事故報告が多いことです。

「火災確率0.005%」とは言い切れない

消費者庁が2019年に公表した調査報告書では、2008年3月から2017年11月までに、事故情報データバンクへ住宅用太陽光発電システムの火災・発火・発煙・過熱等が127件登録されていました。

一方、同報告書で示された住宅用太陽光発電の累積設置棟数は、別の時点で約237万棟でした。

事故情報と設置棟数は集計期間や定義が同じではないため、127件を約237万棟で割った数字を、そのまま現在の住宅用太陽光の「火災発生確率」とすることはできません。

公的な事故データは、「太陽光で火災が起こる可能性はゼロではない」ことを確認するためには役立ちます。ただし、自宅1棟あたりの現在の火災確率まで示すデータではありません。

住宅用太陽光で火災・発煙が起きる主な原因

NITEや消費者庁が公表している事故情報を見ると、原因は一つではありません。

パワーコンディショナ内部の異常

NITEでは、施工不良に起因するものを除くパワーコンディショナの事故について、温度、湿度、水分、ほこりなどの影響による電気回路基板のトラッキング現象が多く見られるとしています。

屋外用・屋内用とも、メーカーが指定する設置環境を守り、雨水、湿気、ほこりなどの影響を受けやすい場所を避けることが必要です。

ケーブル・接続部分の損傷

ケーブルの挟み込み、損傷、接続部分の不具合などから異常発熱し、発火へ至る場合があります。

NITEが公表している2022年の事故では、太陽電池モジュールの設置台レールにケーブルが挟み込まれ、損傷したケーブルが異常発熱して出火したと推定されています。

太陽光パネルの破損や内部不具合

飛来物などでパネルのガラスやセルが損傷し、その後の通電異常から発熱・発火へ至った事故も報告されています。

パネルが割れていても発電を続ける場合があるため、台風などの後に破損を見つけても自分で触らないでください。

経年による部品・接続部分の劣化

消費者庁の過去の調査では、配線接続部の高抵抗化やバイパス回路の不具合が経時的に進行し、異常発熱やアーク放電につながる可能性が分析されています。

設備が古くなったから直ちに危険という意味ではありませんが、設置年数が長い設備では点検履歴や機器の状態を確認しておくことが大切です。

台風・地震などによる損傷

強風による飛来物、設備の飛散・破損、浸水などが、その後の電気的な異常につながる場合があります。

自然災害の後に発電量が大きく変化した場合や、目視できる範囲で破損が確認された場合は、販売店・施工店・メーカーなどへ相談してください。

古い「鋼板等なし型」は確認した方がよい?

2019年の消費者庁調査では、住宅屋根への太陽電池モジュールの設置方法を4種類に分けて分析しています。

設置形態概要
屋根置き型瓦・スレート・金属屋根などの屋根材の上へ架台とモジュールを設置
鋼板等敷設型モジュール直下に鋼板等の不燃材料を敷設
鋼板等付帯型裏面に鋼板等の不燃材料を備えたモジュール
鋼板等なし型裏面に鋼板等がないモジュールをルーフィング上へ直接設置

同調査でモジュールまたはケーブルから発生した13件を分析したところ、野地板へ延焼した事例はすべて「鋼板等なし型」でした。

その後、施工マニュアルや仕様書への安全上の注意事項の追加など、再発防止の取り組みが進められています。

特に確認したいのは、以前から設置されている住宅で、自宅の設置方式が分からない場合です。

設置時の仕様書、施工資料、メーカー名・型番などを確認し、不明な場合は設置した会社やメーカーへ問い合わせてください。屋根へ上って自分で確認する必要はありません。

火災を防ぐために所有者ができること

太陽光発電は、設置後に何もしなくてよい設備ではありません。

普段は発電量と外観を確認する

NITEとJPEAでは、所有者が可能な範囲で発電状況や外観、異音、異臭などを確認するよう案内しています。

  • 発電モニターの発電量を確認する
  • 前年同月と比べて発電量が大きく変わっていないかを見る
  • パワーコンディショナに異常表示が出ていないか確認する
  • 目視できる範囲で破損・変色などがないか確認する
  • 異音や焦げたような異臭がないか確認する

屋根へ上ってパネルや配線を自分で点検する必要はありません。

定期点検は設置1年後、その後4年に1度が目安

NITEとJPEAは住宅用太陽光について、設置後1年目、その後は4年に1度の定期点検を推奨しています。

必要な点検内容は設置年数や故障履歴、メーカーによって異なるため、販売店、施工店、メーカーなどへ確認してください。

パワーコンディショナの年数も確認する

JPEAでは、パワーコンディショナの耐用年数の参考として10~15年を示しています。

10年を過ぎたら必ず交換するという意味ではありませんが、設置から長期間経過している場合は、型番やメーカーの点検・交換情報を確認しておくと安心です。

新しく設置するときに確認したい安全項目

住宅用の10kW未満の太陽光発電設備も、電気事業法に基づく技術基準への適合義務があります。

また、設置時の電気工事は、電気工事士法に基づき資格を持つ電気工事士が行う必要があります。

見積もりや施工前の打ち合わせでは、金額だけでなく次の内容を確認しておくと、設置後の管理もしやすくなります。

  • パネル・パワーコンディショナのメーカーと型番
  • 屋根への固定方法
  • 配線・ケーブルの施工方法
  • 雨仕舞い・防水処理の方法
  • パワーコンディショナの設置場所
  • メーカー保証と施工側の保証内容
  • 設置後の点検・修理の連絡先

「施工件数が多いから絶対安全」「安いから危険」といった単純な判断はできません。実際の施工内容、資格・施工体制、保証、点検時の連絡先まで確認しておくことが大切です。

台風・地震後に壊れた太陽光パネルへ近づかない

太陽光パネルは、破損したり浸水したりしても、光が当たっていれば発電する場合があります。

NITEは、破損箇所や断線したケーブルなどに接触すると感電する危険があるとして、不用意に近づかないよう注意を呼びかけています。

パネルが割れている、屋根から外れている、ケーブルが垂れている、水没している場合は触らないでください。

販売店、施工店、メーカー、電気工事士など専門知識のある事業者へ連絡してください。

災害後に外見上の損傷が見えなくても、発電量が以前と比べて大きく変化している場合は、設備に異常が生じている可能性があります。

太陽光がある住宅で火災が起きたらどうする?

太陽光発電設備がある住宅でも、消防機関は安全対策を行ったうえで放水による消火活動を行っています。

ただし、太陽光パネルは光が当たっている間は発電する可能性があり、消防活動では感電や燃焼ガスへの注意が必要です。

住人が自分で太陽光パネルへ放水したり、屋根へ上ってパネルを覆ったりする必要はありません。
  1. 安全な場所へ避難する 家族や周囲の人の安全を優先してください。
  2. 119番へ通報する 太陽光発電や蓄電池が設置されていることが分かれば、消防へ伝えてください。
  3. 破損したパネルやケーブルへ近づかない 電源を切ったつもりでも、日射を受けたパネル側では電圧が発生している可能性があります。
  4. 鎮火後も専門業者の確認前に触らない 販売店、施工店、メーカー、電気工事士などへ点検を依頼してください。

「太陽光パネルがあると水で消火できない」という意味ではありません。消防機関では、噴霧状の放水や絶縁防護具などを使い、安全を確保しながら活動しています。

太陽光パネルの火災に関するよくある質問

太陽光パネルの火災確率は何%ですか?

現在確認できる公的資料だけから、住宅1棟あたりの正確な火災確率を算出することはできません。NITEでは2015~2024年度に太陽電池発電設備の製品事故260件を受け付け、そのうち239件が火災でしたが、全国すべての事故や設置住宅を分母とした統計ではありません。

太陽光パネル自体が一番燃えやすいのですか?

近年のNITEの事故情報では、パワーコンディショナに関する事故が最も多く報告されています。パネルだけでなく、パワーコンディショナ、ケーブル、接続部分、設置環境を含むシステム全体で安全性を考える必要があります。

太陽光発電は毎年点検しないと危険ですか?

NITEとJPEAでは、住宅用について設置後1年目、その後は4年に1度の定期点検を推奨しています。日常的には発電量、異常表示、異音・異臭、目視できる範囲の外観などを確認します。メーカーが別の点検時期を指定している場合は、その内容も確認してください。

鳥のフンや落ち葉だけで火災になりますか?

部分的な遮光や汚れは発電性能へ影響する場合がありますが、「鳥のフンがあれば火災になる」と単純には判断できません。パネルの破損、配線、接続部なども含めて確認する必要があります。屋根へ上って自分で清掃するのではなく、必要な場合は専門業者へ相談してください。

太陽光パネルの火災には水を使えないのですか?

消防機関は、太陽光発電設備がある建物でも安全対策をしたうえで放水による消火活動を行っています。ただし感電の危険があるため、住人が自分でパネルや破損した配線へ放水するのではなく、避難して119番へ通報してください。

古い太陽光設備ですが、すぐ交換した方がいいですか?

年数だけで交換の必要性は決まりません。設置時期、メーカー・型番、点検履歴、パワーコンディショナの状態、異常表示などを確認してください。長期間点検をしていない場合は、販売店・施工店・メーカーなどへ相談するとよいでしょう。

まとめ|火災を過度に怖がるより、設備全体を確認する

  • 住宅用太陽光でも火災・発煙事故は報告されている
  • 現在の公的資料から住宅1棟あたりの正確な火災確率は算出できない
  • NITEの近年データではパワーコンディショナ関連の事故報告が多い
  • ケーブル損傷、パネル破損、湿気・ほこり、経年変化など原因は一つではない
  • 古い鋼板等なし型では過去に野地板への延焼リスクが問題となった
  • 定期点検は設置後1年、その後4年に1度が推奨されている
  • 普段は発電量、異常表示、異音・異臭などを確認する
  • 破損・浸水したパネルや配線には近づかない
  • 火災時は自分で屋根へ上がらず、避難と119番通報を優先する

これから太陽光を設置する場合は、パネルの性能や価格だけでなく、配線方法、パワーコンディショナの設置場所、施工体制、保証、点検時の連絡先まで確認しておくと、設置後の不安を減らしやすくなります。

すでに太陽光を設置していて、設置年数が長い、施工資料が残っていない、点検を長期間していないといった場合は、設備の状況を一度整理してみてください。

自宅の太陽光設備について確認したい方へ

設置時期、メーカー・型番、現在の見積書や施工資料などが分かれば、確認しておきたい項目を整理できます。実際の安全性や修理の必要性は、設備の状態を確認した専門業者の判断が必要です。

太陽光・蓄電池について相談する

発煙・火災・破損など緊急性がある場合は、このフォームではなく119番や施工店・メーカーへ連絡してください。