太陽光発電の停電時の使い方|自立運転モード

POWER OUTAGE SURVIVAL GUIDE

2024年8月の宮崎・日向灘地震。福岡でも揺れた。停電は2時間で復旧したけれど、太陽光パネルを載せている中村さん(50代・久留米市)は、ずっとスマホのライトで過ごしていた。

「太陽光があるのに、なんで電気が使えないの?」。奥さんに聞かれて、答えられなかったそうだ。実は、パワコンの「自立運転モード」に切り替えれば使えたのに。この操作を知らない人が、想像以上に多い。

2018年の北海道胆振東部地震では、太陽光を設置していた世帯のうち約85%が「自立運転機能を知らなかった」と回答している(出典:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の自立運転機能の周知について」)。せっかくの非常用電源を、宝の持ち腐れにしてしまったわけだ。

この記事では、停電時に太陽光発電の電気を使うための手順から、使える家電の目安、蓄電池なし・ありの違い、今日からできる備えまで、丸ごと解説する。次の停電で「知らなかった」とは、もう言わせない。

情報基準日:2026年2月|出典:JPEA太陽光発電協会「停電時でも電気が使えます」

SECTION 01

太陽光発電は停電時も使える(ただし条件あり)

結論から。太陽光パネルが屋根に載っていれば、停電時でも電気は使える。ただし、勝手に使えるわけじゃない。ここを誤解している人がめちゃくちゃ多い。

通常、パワーコンディショナ(パワコン)は電力会社の送電網(系統)とつながって動いている。停電するとこの系統が切れるから、パワコンは安全装置が働いて自動的に止まる。つまり、パネルは発電しているのに、家の中には電気が流れない。ここが落とし穴だ。

使うために必要な3つの条件

太陽光の電気を停電時に使うには、以下の3つがそろっている必要がある。

  • パワコンに「自立運転機能」がついている(ほぼ全機種に標準装備)
  • 太陽光パネルが発電している時間帯(日中・晴れまたは曇り)
  • 「自立運転モード」に手動で切り替える操作を知っている

3つ目。これがネックになる。機能はあるのに、操作を知らない。北海道地震のときも問題になったのは、まさにこの点だった。パワコンの取扱説明書、ちゃんと手元にありますか?

自立運転コンセントの場所、知ってる?

自立運転モードに切り替えると、パワコン本体または近くの壁面についている「自立運転用コンセント」から電気が取れる。ここがミソなんだけど、普段のコンセントからは電気が出ない。あくまで専用コンセントだけ。

つまり、パワコンが2階の外壁についているのに、使いたい冷蔵庫は1階のキッチン——なんて状況だと、延長コードが必要になる。ここ、盲点になりがちだ。

経験から

「停電のとき”太陽光があるから大丈夫”と安心していたお客さんが、いざ停電になって何もできなかった、という相談が年に数件あります。パワコンの場所すら知らない方もいる。設置したときに説明を受けたはずなんですが、何年も経つと忘れてしまうんですよね」

SECTION 02

自立運転モードの切替手順【7ステップ】

「難しそう……」と思った方、安心してほしい。手順自体はシンプルで、慣れれば2〜3分で完了する。ただし、停電してから初めて取説を読むのは絶対にやめたほうがいい。暗闘の中、焦りながら操作するのは、想像以上にキツい。

以下はJPEA(太陽光発電協会)が推奨する一般的な手順だ(出典:JPEA「停電時でも電気が使えます」)。メーカーや機種によって細部が異なるので、必ず自分のパワコンの取扱説明書も確認してほしい。

  1. 1

    自立運転用コンセントの位置を確認する

    パワコン本体の近く、または室内壁面に設置されている。屋外設置タイプの場合、事前に工事が必要なケースもある。

  2. 2

    主電源ブレーカーをOFFにする

    分電盤の主幹ブレーカーを落とす。電力会社の送電網と自宅を切り離すため。これを忘れると逆潮流で危険な場合がある。

  3. 3

    太陽光発電ブレーカーをOFFにする

    分電盤の中にある太陽光専用ブレーカーも落とす。パワコンを一度完全に停止させる。

  4. 4

    パワコンの運転モードを「自立運転」に切り替える

    本体のスイッチまたは液晶パネルで操作する。機種によってボタンの位置・名称が違うので、ここが一番つまずきやすい。

  5. 5

    太陽光発電ブレーカーをONに戻す

    パワコンに発電した電気を流すため。この時点で自立運転コンセントに電気が来るはず。

  6. 6

    自立運転コンセントに使いたい家電を接続する

    延長コードや電源タップを使ってOK。ただし合計1,500Wを超えないように。超えるとパワコンが停止する。

  7. 7

    停電復旧後は、逆の手順で「連系運転」に戻す

    自立運転モード解除 → 太陽光ブレーカーON → 主電源ブレーカーON の順番。この順番を間違えると、パワコンにエラーが出る場合がある。

蓄電池付きのシステムだと、自動で自立運転に切り替わる機種が多い。手動操作が不要な分、ストレスが格段に減る。ただし、全機種が自動というわけじゃないから、事前確認は必須だ。

※自立運転の切替操作は、日照がある時間帯に行う必要がある。夜間や悪天候時は発電していないため、操作しても電気は来ない。

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SECTION 03

停電時に使える電力と家電の目安

ここ、正直いちばん気になるところだと思う。「で、結局どのくらい使えるの?」——答えは最大1,500W。普通のコンセント1口分と同じだ。

なぜ1,500Wなのか

パワコンの自立運転コンセントはAC100V・15A仕様。100V × 15A = 1,500W。これは電気用品安全法で決まっている上限値で、パネルの容量が5kWだろうが10kWだろうが関係ない。自立運転コンセントから出せるのは最大1,500W。これ以上つなぐと、パワコンが保護機能で停止する。

しかも、これは「晴天時の最大値」。曇りなら500〜800W程度、雨なら100W以下まで落ちることもある。天気次第で使える電力がころころ変わる——ここがガスや灯油の非常用発電機とは決定的に違う点だ。

主な家電の消費電力一覧

どの家電がどのくらい電気を食うか。これを知っているだけで、停電時のやりくりが全然変わる。

家電製品消費電力の目安1,500W内
スマホ充電器5〜20W余裕
LED照明5〜12W余裕
テレビ(32型)60〜100W余裕
ノートPC30〜65W余裕
Wi-Fiルーター10〜20W余裕
扇風機20〜40W余裕
冷蔵庫100〜300W単体ならOK
炊飯器1,000〜1,300W単体で限界
電子レンジ1,000〜1,450W単体で限界
ドライヤー600〜1,200W他と併用NG
エアコン500〜2,000W起動時に超過の恐れ
洗濯機400〜500W単体ならOK
IHクッキングヒーター1,400〜3,000W使用不可

※ 横にスクロールできます

余裕で使える(〜100W)

スマホ充電5〜20W
LED照明5〜12W
テレビ32型60〜100W
ノートPC30〜65W
Wi-Fiルーター10〜20W
扇風機20〜40W

単体ならOK(100〜500W)

冷蔵庫100〜300W
洗濯機400〜500W

単体で限界 or 使用不可

炊飯器1,000〜1,300W
電子レンジ1,000〜1,450W
ドライヤー600〜1,200W
エアコン500〜2,000W
IHクッキング使用不可

ポイントは「同時使用」のワット数管理。冷蔵庫(150W)+テレビ(70W)+スマホ充電(15W)+LED照明(10W)= 245W。これなら全然いける。でもここに電子レンジ(1,200W)を加えると1,445Wで、ギリギリ。曇りの日ならアウトだ。

実例 ─ 宗像市 高橋さん(40代・4人家族・築8年)

台風による12時間停電を太陽光の自立運転で乗り切った

使えた家電

冷蔵庫+TV+充電

合計消費電力

約250W

「冷蔵庫の中身を全部ダメにせずに済んだのが一番助かった。炊飯器は使えなかったけど、カセットコンロでごはんは炊けた。情報収集もテレビとスマホでできた」。※実績に基づくイメージです

アドバイス

「停電時の電力管理は”引き算の発想”です。1,500Wの枠を、何に使うか。コツは『情報・保冷・充電』の3つを最優先にすること。炊飯器やレンジは消費電力が大きいので、カセットコンロで代替するほうが賢い。電気は”使い道を選ぶ”のがポイントです」

SECTION 04

蓄電池なし vs あり|停電対応力はどう変わる?

「蓄電池がないと停電のとき困る?」——この質問、実はすごく多い。答えを先に言うと、太陽光だけでも日中は使える。でも夜はどうにもならない。ここが分岐点だ。

蓄電池なしの限界

太陽光パネルは日が沈めば発電しない。当たり前のことだけど、停電が夜に起きたら——あるいは翌朝まで続いたら——蓄電池なしでは完全にお手上げになる。夏場の夜に冷房が使えない。冬場の夜に暖房が動かない。乳幼児や高齢者のいる家庭にとって、これはかなり深刻だ。

もうひとつ忘れがちな弱点がある。自立運転は「専用コンセント」からしか電気が取れない。つまり、各部屋の天井照明はつかない。コンセント式のスタンドライトや懐中電灯で代替するしかない。

蓄電池ありだと何が変わるか

蓄電池を併設すると、世界がガラッと変わる。大きく3つ。

  • 夜間も電気が使える——日中に充電して夜に放電。24時間対応。
  • 自動切替のモデルが多い——手動操作が不要。停電に気づかないレベル。
  • 全負荷型なら家中のコンセントが使える——専用コンセントの制約から解放される。
比較項目蓄電池なし蓄電池あり
日中(晴天)最大1,500W最大1,500W〜5,000W
日中(曇り・雨)100〜800W蓄電池から補填可
夜間使用不可蓄電池から放電
使えるコンセント専用コンセントのみ特定負荷 or 全負荷
切替方法手動(2〜3分)自動切替が多い
連続稼働日照時間のみ(5〜8h)24時間以上も可能

※ 横にスクロールできます

太陽光のみ(蓄電池なし)

日中晴天最大1,500W
曇り・雨100〜800W
夜間使用不可
コンセント専用のみ
切替方法手動(2〜3分)
連続稼働日照時間のみ

太陽光+蓄電池

日中晴天最大5,000W
曇り・雨蓄電池で補填
夜間蓄電池から放電
コンセント全負荷型なら家全体
切替方法自動切替が多い
連続稼働24時間以上も可能

実例 ─ 福岡市早良区 田中さん(30代・3人家族+乳児・築5年)

蓄電池追加後、台風の2日間停電でもほぼ通常生活

蓄電池容量

9.8kWh

停電中も稼働

約48時間

「生後6ヶ月の子がいたから、ミルクのお湯や冷房が止まるのが一番怖かった。蓄電池があったおかげで、エアコンも夜間も動いた。近所が真っ暗な中、うちだけ明かりがついていた」。※実績に基づくイメージです

BCソーラーとは

変換効率26.5%。一般的なパネルの約半分の重さ。裏面電極配置で、光の受光面積を最大化。つまり「軽くて、よく発電する」パネルです。屋根への負担が心配な方にこそ、知ってほしい選択肢です。

補助金3重取りとは

国の補助金、県の補助金、市の補助金。この3つは、併用できるケースがほとんどです。うまく組み合わせれば、最大100万円以上の補助金になることも。「1つだけ」で申請している人が、実はかなり多いんです。

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SECTION 05

停電に備える5つの準備(今日からできる)

ここまで読んで「うちは大丈夫かな」と少しでも不安を感じた方は、今日のうちに以下の5つだけやっておいてほしい。どれも10分あればできる。停電してからでは遅い。

  1. 1

    パワコンの取扱説明書を手元に出す

    紛失していたら、メーカーサイトからPDFをダウンロード。スマホに保存しておけば暗闘の中でも見られる。型番はパワコン本体の側面か底面に貼ってある。

  2. 2

    自立運転コンセントの場所を確認する

    パワコン本体の下部、または室内壁面にある。場所がわからなければ、設置業者に電話1本で確認できる。屋外設置タイプの場合、コンセントの増設工事が必要なケースも。

  3. 3

    延長コード(3m以上)と電源タップを準備する

    パワコンの近くにない家電まで電気を引くために必要。100均でも買えるけど、合計W数に耐えられるものを選ぶこと。15Aの表示があるものなら安心。

  4. 4

    家電の消費電力をメモしておく

    冷蔵庫の背面や電子レンジの底面にワット数が書いてある。主要なものだけでも把握しておけば、停電時にパニックにならない。

  5. 5

    家族全員に切替方法を共有する

    自分だけ知っていても、出張中に停電が起きたらアウト。スマホの写真で手順をメモして、家族LINEに送っておくのが一番手軽。

停電時チェックリスト

  • パワコンの取扱説明書はどこにあるか?
  • 自立運転コンセントの場所を確認したか?
  • 延長コード(15A対応・3m以上)はあるか?
  • 冷蔵庫・テレビ・スマホ充電の消費W数を把握しているか?
  • 家族全員が切替手順を知っているか?
  • カセットコンロとガスボンベの予備はあるか?
  • 懐中電灯・モバイルバッテリーの充電は十分か?

セカンドオピニオンとは

他社で「設置できない」と言われた屋根でも、パネルの種類や工法を変えれば対応できるケースがあります。1社の判断だけで諦めるのは、もったいない。セカンドオピニオンは無料です。

FAQ

停電時の太陽光発電に関するよくある質問

停電時に太陽光発電の電気は自動で使えますか?
基本的には自動では使えません。パワコンを手動で「自立運転モード」に切り替える操作が必要です。ただし、蓄電池を併設している場合は自動切替に対応した機種が多いので、事前に確認してください。
夜間も太陽光の電気は使えますか?
太陽光パネルだけでは使えません。夜間は発電しないためです。蓄電池があれば、日中に充電した電気を夜に放電できるので、夜間も使えます。
停電時にエアコンは使えますか?
太陽光のみの場合、自立運転コンセントは100V仕様のため、200V対応のエアコンは使えません。100Vのエアコンでも起動時に大電流が流れるため、不安定になりやすいです。全負荷型の蓄電池があれば、200Vのエアコンも動かせます。
自立運転モードで使える電力は何Wまでですか?
一般的なパワコンの場合、最大1,500Wです。これはパネルの容量が何kWであっても同じで、自立運転コンセントの仕様上の上限値です。
自立運転コンセントはどこにありますか?
パワコン本体の下部、または室内壁面に設置されています。屋外設置タイプの場合は別途コンセントの増設工事が必要なことも。設置業者か取扱説明書で確認できます。
蓄電池なしでも停電時に太陽光は役立ちますか?
はい。日中・晴天時であれば、冷蔵庫の維持やスマホの充電、テレビでの情報収集に十分役立ちます。蓄電池なしの弱点は夜間や悪天候時に電気が使えない点です。
停電が復旧したら何をすればいいですか?
自立運転モードを解除 → 太陽光発電ブレーカーをON → 主電源ブレーカーをONの順で元に戻します。この順番を間違えるとパワコンにエラーが出る場合があるので注意してください。

SUMMARY

まとめ:「知っている」だけで、停電は怖くなくなる

この記事のポイント

  • 太陽光発電は停電時も使える——ただしパワコンの「自立運転モード」への手動切替が必要
  • 使える電力は最大1,500W。「情報・保冷・充電」を最優先にやりくりする
  • 蓄電池なしでは日中のみ。蓄電池ありなら夜間も含め24時間以上の対応が可能
  • 全負荷型蓄電池なら家中のコンセントが使え、自動切替で手間もゼロ
  • 今日やるべきこと:取説確認・コンセント位置確認・延長コード準備・家族への共有

冒頭の中村さんは、あの停電の後、自立運転の操作を家族全員で練習した。取説のPDFをスマホに保存して、延長コードも買い足した。「次は大丈夫」。そう言えるようになっただけで、台風シーズンの不安が全然違うそうだ。

太陽光パネルがあるのに停電で使えなかった——この後悔は、知識と準備だけで100%防げる。この記事を最後まで読んだあなたは、もうその失敗はしない。あとは「試しに一度、自立運転に切り替えてみる」だけだ。晴れた日に、5分あればできる。

監修者コメント

太陽光の自立運転って、知っている人と知らない人で、停電時の安心感がまるで違います。正直、設置工事のときに説明はしているんですが、何年も経つと忘れてしまうもの。この記事を読んだら、ぜひ今日のうちにパワコンの場所と自立運転コンセントの位置だけでも確認してみてください。それだけで「備え」は8割完了です。蓄電池を追加するかどうかは、家族構成やライフスタイルで変わりますので、気軽にご相談ください。

緒方慎太郎

第二種電気工事士

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※本記事の情報は2026年2月時点のものです。パワコンの操作方法はメーカー・機種によって異なります。必ずお持ちの取扱説明書をご確認ください。記事内の事例は実績に基づくイメージであり、個別の結果を保証するものではありません。自立運転の電源を使用する際、生命に関わる機器は絶対に接続しないでください。