太陽光発電の発電量の計算方法【地域別・容量別】

SOLAR POWER GUIDE

「太陽光発電って、うちだとどれくらい発電するの?」

ハウスメーカーの営業さんに聞いたら「だいたい年間5,000kWhくらいですね」と言われた。でも「だいたい」って何? その数字、信じていいの?

契約書にハンコを押す前に、自分で計算できたらいいのに——。そう思ったことがある方は、きっと多いはずです。

この記事では、太陽光発電の発電量を自分で計算する方法を、できるだけわかりやすく解説します。計算式はたった1つ。中学の数学で十分です。

4kW・5kW・6kWの容量別、地域別の年間発電量も一覧表にまとめました。「数字がわからないまま営業トークに流される」——そんな未来とは、今日でお別れです。

SECTION 01

太陽光発電の発電量、結論から言うと?

「で、結局うちはどれくらい発電するの?」——まずはこの疑問に答えます。

太陽光発電の年間発電量は、1kWあたり約1,000〜1,200kWhが全国的な目安です。太陽光発電協会やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のデータが根拠です。

これを住宅用で人気の容量に換算すると、こうなります。

システム容量年間発電量の目安1日あたりの目安
4kW約4,000〜4,800kWh約11〜13kWh
5kW約5,000〜6,000kWh約14〜16kWh
6kW約6,000〜7,200kWh約16〜20kWh

4人家族の平均的な年間消費電力が約4,500〜5,000kWhと言われています。つまり、5kWのシステムを載せれば、年間の電気使用量をほぼまかなえる計算です。もちろん、昼間しか発電しないので蓄電池との組み合わせがカギになりますが。

ただし——。この「1,000kWh/kW」という数字は、あくまで全国平均の話。実際は地域によって2割以上の差が出ます。福岡と秋田では、まるで別物です。

経験談

現場で設置してきた感覚でいうと、九州のお宅は「思ったより発電した」という声が多いですね。逆に、日本海側のお客さまには冬場の発電量を正直にお伝えするようにしています。期待値のズレが一番トラブルになりやすいので。

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SECTION 02

発電量の計算式と3つのカギ

「計算式って難しそう…」と感じた方、安心してください。覚えるのは1本だけです。

年間発電量の計算式

年間発電量(kWh)= 日射量 × システム容量 × 損失係数 × 365

出典:NEDO「太陽光発電導入ガイドブック」/JIS C 8907:2005

この式を動かす「3つのカギ」を順番に見ていきましょう。

カギ①:日射量(kWh/㎡/日)

日射量とは、1日に太陽から地面1㎡に届くエネルギーの量です。ガソリンでいえば「1日に入る燃料の量」にあたります。

日本の年平均日射量は地域によって異なり、おおむね3.3〜4.5kWh/㎡/日の範囲です。NEDOの日射量データベース(MONSOLA-20)で、自分の住んでいる地域の数値を調べられます。

南向き・傾斜角30度の場合、以下が代表的な地域の数値です。

地域年平均日射量(kWh/㎡/日)傾向
札幌3.52冬は雪で低下しやすい
仙台3.65梅雨と冬の曇天に注意
東京3.74安定した日射量
名古屋3.97太平洋側で比較的多い
大阪3.88瀬戸内寄りは有利
福岡3.82九州は年間通じて安定
那覇4.13日射量トップクラス

※出典:NEDO 日射量データベース閲覧システム(MONSOLA-20)/南向き・傾斜角30度

カギ②:システム容量(kW)

これはシンプル。屋根に載せるパネルの合計出力です。住宅用では4〜6kWが一般的。パネル1枚あたり350〜400Wが2026年現在の主流なので、5kWなら13〜14枚程度のイメージです。

ちなみに、パワーコンディショナ(パワコン)の容量がパネル容量より小さい「過積載」の場合は、パワコン容量を基準にする必要があります。ここ、業者さんのシミュレーションで意外と見落とされがちなポイントです。

カギ③:損失係数

太陽光パネルはカタログどおりの力をフルに出せるわけではありません。温度上昇、配線ロス、パワコンでの変換ロス、汚れ——いろいろな「ムダ」が生まれます。

これをまとめて「損失係数」と呼びます。NEDOの推奨値は0.73。最近は高効率なパワコンも増え、0.80〜0.85を採用するメーカーもあります。

損失係数の内訳(NEDO基準)

パワーコンディショナの損失:約5%、温度による損失:約10%、汚れ・影・配線等:約12%。合計で約27%の損失(損失係数0.73)となります。メーカーの見積りで0.85を使っている場合、実際より高めの発電量が出ることがあるので要注意。

計算例 ─ 福岡市 田中さん(4人家族・築5年)

5kWシステムの年間発電量を自分で計算

計算式に代入

3.82×5×0.73×365

年間発電量

5,089kWh/年

実測でもほぼこの範囲に。営業さんのシミュレーションと比較する「物差し」になります。※実績に基づくイメージです

コメント

業者さんのシミュレーションで損失係数が0.85になっていたら、ちょっと立ち止まってください。0.73で計算し直してみて、それでも採算が合うなら安心材料になります。逆に0.73で計算するとギリギリ…という場合は、慎重に判断したほうがいいですね。

SECTION 03

地域別・容量別の年間発電量一覧表

「結論だけ知りたい方は、この表だけ見てください。」

以下は、主要都市における4kW・5kW・6kWシステムの年間発電量の目安です。損失係数はNEDO推奨値の0.73、南向き・傾斜角30度の条件で計算しています。

地域4kW5kW6kW
札幌3,752 kWh4,690 kWh5,628 kWh
仙台3,890 kWh4,863 kWh5,835 kWh
東京3,986 kWh4,983 kWh5,979 kWh
名古屋4,231 kWh5,289 kWh6,346 kWh
大阪4,135 kWh5,169 kWh6,203 kWh
広島4,071 kWh5,089 kWh6,107 kWh
高松4,199 kWh5,249 kWh6,299 kWh
福岡4,071 kWh5,089 kWh6,107 kWh
鹿児島4,103 kWh5,129 kWh6,155 kWh
那覇4,402 kWh5,503 kWh6,603 kWh

※NEDO MONSOLA-20日射量データ(南向き30度)、損失係数0.73で算出。実際の発電量は設置環境により異なります。

表を見ると、同じ5kWでも、那覇と札幌では年間約810kWhの差があります。金額にすると年間2万円以上の違い。10年で20万円です。「地域差なんて気にしなくていい」とは、とても言えません。

ただ、ここで「日射量が少ない地域はダメなのか」と悲観する必要はないです。パネルの種類や設置角度の工夫で、差を縮めることは十分にできます。その話は次のセクションで。

SECTION 04

発電量を左右する5つの要因

「同じパネルを載せても、発電量が違うのはなぜ?」——気になりますよね。答えは、以下の5つです。

  • 1

    日射量(地域差)

    先ほどの表のとおり。太平洋側、内陸部、瀬戸内エリアは有利。日本海側や北東北は冬場の日照時間が短くなります。

  • 2

    設置方位

    南向きが100%だとすると、東・西向きは約85%、北向きは約63%まで落ちます(太陽光発電協会データ)。北面設置はそもそも推奨されません。

  • 3

    設置角度

    日本では傾斜角30度が最適と言われます。水平(0度)だと約10%減。屋根の勾配が緩い場合は架台で角度をつけることも。

  • 4

    気温

    意外かもしれませんが、真夏より春の方が発電量は多いです。パネルは高温に弱く、気温が1℃上がると出力が約0.4%低下します。5月が年間のピークになる地域が大半。

  • 5

    影・汚れ・経年劣化

    近隣の建物や電柱の影、鳥のフン、黄砂、落ち葉。これらが発電量を数%削ります。経年劣化は年0.5%程度。20年で約10%の低下が目安です。

BCソーラーとは

変換効率26.5%。一般的なパネルの約半分の重さ。裏面電極配置で、光の受光面積を最大化。つまり「軽くて、よく発電する」パネルです。屋根への負担が心配な方にこそ、知ってほしい選択肢です。

実例 ─ 福岡県春日市 山田さん(3人家族・築12年・瓦屋根)

築古の瓦屋根でも軽量パネルで設置OK。発電量は想定以上

年間電気代(設置前)

18.6万円

年間電気代(設置後)

6.2万円

5.2kWシステム。年間発電量は約5,400kWh。自家消費率約35%、売電収入と合わせて年間約12.4万円の削減。※実績に基づくイメージです

3つの補助金、全部使えるかどうかは屋根の状態と設置条件で変わります。

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補助金3重取りとは

国の補助金、県の補助金、市の補助金。この3つは、併用できるケースがほとんどです。うまく組み合わせれば、最大100万円以上の補助金になることも。「1つだけ」で申請している人が、実はかなり多いんです。

SECTION 05

発電量を最大化する3つのコツ

「日射量は変えられないけど、工夫次第で発電量は伸ばせる」——これが結論です。

コツ①:パネルの変換効率にこだわる

屋根の面積が限られている住宅では、「狭い面積でどれだけ発電できるか」が勝負。変換効率が高いパネルほど、同じ面積でも多く発電します。

一般的なPERCパネルの変換効率が20〜22%程度。対して、バックコンタクト(BC)型は26.5%。差は4〜5%ですが、20年間で見ると大きな差になります。

コツ②:設置角度と方位を最適化する

南向き30度が理想。でも、寄棟屋根のように複数方向に分散して載せる場合は、東西面のロスも計算に入れる必要があります。「南向き100%」にこだわるより、載せられる枚数を増やしたほうがトータルで有利なケースもありますよ。

コツ③:定期的なメンテナンスを怠らない

「設置したら放置」という方が意外と多いです。年に1回のパネル清掃と点検で、発電効率の低下を2〜3%は防げます。20年間の累計で考えると、メンテナンス費用の何倍ものリターンがあります。

アドバイス

メンテナンスを「コスト」と思っている方が多いんですが、逆です。メンテナンスは「投資」。とくに鳥のフンが溜まりやすい環境のお宅では、放置すると「ホットスポット」が発生してパネルが故障するリスクもあります。年1回は必ず点検してほしいですね。

SECTION 06

自分で発電量を計算する手順

「めんどくさそう…」と思ったかもしれません。でも、実際は3ステップ・5分で終わります。

  • 1

    NEDOの日射量データベースで自分の地域の日射量を調べる

    NEDO 日射量データベース閲覧システムにアクセス → 「年間月別日射量データベース(MONSOLA-20)」を選択 → 最寄りの観測地点を選ぶ → 南向き・30度(自分の屋根に近い角度)の年平均日射量をメモ。

  • 2

    システム容量を決める(or 業者の見積りから転記)

    業者から見積りをもらっている場合はそこに書いてある「パネル容量 ○kW」をそのまま使います。まだ検討段階なら、屋根面積から逆算。一般的に10㎡あたり約1.5kWが目安。

  • 3

    計算式に当てはめる

    日射量 × システム容量 × 0.73(損失係数)× 365 = 年間発電量。電卓かスマホの計算アプリで10秒。これだけです。

計算例:名古屋で5kWを設置する場合

3.97(日射量)× 5(kW)× 0.73 × 365 = 5,289 kWh/年

月あたり約440kWh。4人家族の月平均消費電力が約380〜420kWhなので、かなり賄えることがわかります。

セカンドオピニオンとは

他社で「設置できない」と言われた屋根でも、パネルの種類や工法を変えれば対応できるケースがあります。1社の判断だけで諦めるのは、もったいない。セカンドオピニオンは無料です。

FAQ

よくある質問

太陽光発電の発電量は天気が悪い日でもゼロにはならない?
曇りの日でも晴天時の30〜50%程度は発電します。これは空気中の散乱光でもパネルが反応するため。ただし、大雨や大雪でパネルが完全に覆われた場合はゼロに近くなることもあります。
発電量が一番多い月はいつですか?
多くの地域で4〜5月が年間のピークです。日照時間が長く、気温がまだ高くないため、パネルの効率が最も良い条件になります。真夏は暑すぎて出力が下がることが多いです。
経年劣化でどれくらい発電量が落ちますか?
一般的に年間0.5%程度の劣化とされています。10年で約5%、20年で約10%。ほとんどのメーカーが「25年後に公称出力の80%以上」の出力保証を付けています。極端に落ちるものではありません。
kWとkWhの違いがよくわかりません。
kWは「瞬間的な出力(パワー)」、kWhは「時間あたりの電力量(エネルギー)」です。たとえるなら、kWは「水道の蛇口の太さ」、kWhは「バケツに溜まった水の量」。発電量の話では、kWhのほうが重要です。
業者のシミュレーションと自分の計算が大きくずれています。どちらを信じるべき?
差が10%以内なら正常な範囲です。業者はメーカー固有の効率データを使っているため、若干のずれは起こります。ただし、20%以上ずれている場合は損失係数の設定を確認してください。0.85と0.73では結果がかなり変わります。不安なときは、セカンドオピニオンを取るのがおすすめです。
北向きの屋根でも太陽光発電はできますか?
技術的には可能ですが、発電量は南向きの約63%まで落ちます。経済的に見合わないケースが多いため、基本的に推奨されません。ただし、東西面に十分な面積があれば、そちらに集中して設置する方法もあります。
雪国でも太陽光発電は採算が合いますか?
冬場の発電量は確実に落ちますが、年間トータルで見れば採算が合うケースは多いです。実は、気温が低い地域はパネルの温度損失が少ないので、春〜秋の効率は高め。積雪対策として設置角度を急にする、落雪しやすい架台を選ぶなどの工夫がポイントです。

SUMMARY

まとめ

太陽光発電の発電量は「なんとなく」で判断するものではありません。計算式は1つ、必要な情報は3つだけ。自分で数字を確認できれば、営業トークに惑わされることもなくなります。

この記事のポイント

  • 年間発電量は「日射量 × 容量 × 損失係数 × 365」で計算できる
  • 1kWあたり年間約1,000〜1,200kWhが全国平均の目安
  • 地域差は最大で2割以上。日射量データはNEDOで無料公開されている
  • 損失係数はNEDO推奨の0.73で計算するのが安全側の見積り
  • 発電量を伸ばすには、変換効率の高いパネル選び・設置条件の最適化・定期メンテナンスが鍵
  • 業者のシミュレーションとの誤差が20%以上ならセカンドオピニオンを

この記事を読んだあなたは、もう「発電量がわからないまま契約してしまう」側の人ではありません。数字を自分で確認できるということは、それだけで業者との交渉力が変わります。

とはいえ、計算だけでは見えないこともあります。屋根の形状、影の影響、補助金の組み合わせ——こうした個別条件は、やはり専門家に見てもらうのが確実です。

まとめコメント

「発電量の計算ができるお客さま」は、正直こちらとしてもやりやすいんです。数字をベースに話ができるので、無駄な駆け引きが減る。結果的に、お互いにとって最適なプランが見つかりやすくなります。まずは、この記事の計算式で「うちの発電量」を出してみてください。それが、後悔しない太陽光選びの第一歩です。

緒方慎太郎

第二種電気工事士

この記事を読んだあなたは、もう「知らずに損する人」ではありません。

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※本記事の情報は2026年2月時点のものです。最新の補助金制度・売電価格については、各自治体やリンク先の公式サイトでご確認ください。