情報確認日:2026年8月13日
引っ越しや住宅の売却が決まったとき、「屋根に付いている太陽光発電はどうすればいい?」と迷うことがあります。
自己所有の太陽光であれば、住宅に残したまま売却するほか、新居へ移設する、撤去する、旧宅を所有したまま設備を使い続けるといった選択肢があります。
最初に決めるのは「売却・移設・撤去」ではありません
まず確認したいのは、太陽光設備の所有者、FIT認定の状況、売電契約、ローン残債、メーカー保証です。
PPAやリースでは、契約期間中の設備所有者がサービス事業者になっていることもあります。設備の扱いを決める前に契約内容を確認してください。
引っ越し時の太陽光発電|主な選択肢
| 選択肢 | 主に確認すること | 向いている可能性があるケース |
|---|---|---|
| 住宅に残して売却 | FIT認定の事業者変更、売電契約、保証、ローン・PPA等 | 住宅自体を売却し、設備も残す場合 |
| 新居へ移設 | 新旧の屋根、移設費、設備変更手続、保証、運搬・再施工 | 現在の設備を新居でも利用したい場合 |
| 撤去 | 撤去・屋根補修・適正処理、FIT廃止届、補助金条件 | 設備を残せない、住宅工事と重なる、設備状態に問題がある場合など |
| 旧宅に残して継続 | 住宅を賃貸等で保有する場合の電気・売電契約、維持管理 | 旧宅を売却せず所有し続ける場合 |
最初に確認するのは「太陽光の所有者」
太陽光発電を自分で購入している場合と、PPA・リースを利用している場合では、引っ越し時の対応が大きく異なります。
自己所有
住宅所有者が太陽光発電設備を所有している形です。売却、移設、撤去を検討するときは、FIT、売電契約、ローン、保証などを確認します。
PPA・リース
契約期間中はサービス事業者が設備を所有しているプランがあります。住宅売却時の契約承継や中途解約、撤去について、契約書と事業者への確認が必要です。
太陽光を残したまま住宅を売却する場合
太陽光設備を住宅に残す場合でも、住宅の所有権が移れば太陽光関係の確認が必要になります。
FIT認定は自動的に買主へ切り替わるわけではない
FIT認定を受けている設備について、発電事業を他の人へ譲渡する場合は、事業者変更に関する変更認定手続を確認します。
資源エネルギー庁では、50kW未満の太陽光について変更認定申請、変更届出などの手続方法と、事業譲渡に関する必要書類を公開しています。
売電契約も別に確認する
FIT認定の事業者変更と、電力会社等との売電契約は同じ手続ではありません。
現在の売電先へ、住宅売買に伴う契約者変更で必要になる書類・時期を確認してください。
保証の引き継ぎはメーカーごとに確認
メーカー保証や施工店の保証は、住宅の売却に伴って自動的に新しい所有者へ移るとは限りません。
保証書を確認し、メーカーや設置業者へ名義変更・所有者変更後の扱いを確認します。
- FIT認定関係の資料・設備ID
- 売電契約の資料
- メーカー・型番
- 設置年月
- 保証書
- 施工会社の資料
- 発電量の記録
- ローン・PPA・リース契約書
太陽光を新居へ移設する場合
太陽光パネルは、物理的に取り外して新しい建物へ設置できる場合があります。
ただし「今使えているから新居でもそのまま使える」とは限りません。
- 現在の設備を確認する メーカー、型番、容量、設置年、パワコン、架台、保証などを確認します。
- 新居の屋根を確認する 屋根面積、形、屋根材、方角、下地、設備配置などから再設置できるか確認します。
- 移設費用を見積もる 旧宅での取り外し、屋根補修、運搬、新居への架台・設置・電気工事などを含む総額で確認します。
- 新設する場合とも比較する 既存設備の再利用だけでなく、新居へ新たな設備を設置する場合の見積もりも確認します。
- FIT・売電の変更手続を確認する 所在地や設備内容など、認定情報の何が変わるのかを整理し、必要な変更手続を確認します。
- メーカー保証を確認する 取り外し・移設・再施工後に製品保証や施工保証がどうなるのかを、メーカー・施工店へ確認します。
移設・そのまま売却・新居へ新設、どれを確認すればいい?
現在の太陽光の設置年・型番・FIT・新居の地域や屋根条件が分かれば、まず確認した方がよい項目を整理できます。
引っ越し時の太陽光について相談する移設や新設を決める前の段階でも確認できます。
太陽光を撤去する場合
引っ越しをきっかけに撤去する場合もありますが、「古いから」という年数だけで撤去を決める必要はありません。
太陽光発電協会(JPEA)は、故障等がなければFIT期間終了後も自家消費に利用できるため、故障や不具合が理由の場合は撤去前に修理・交換も検討するよう案内しています。
撤去するときは屋根と廃棄まで確認
- パネル・架台等の取り外し
- 屋根の固定部・防水の処理
- パワコンや配線等の撤去
- 運搬
- パネル等の適正処理・リサイクル
- FIT認定設備の場合は廃止届
- 売電契約の終了手続
事業者が住宅から取り外した太陽光パネルは、一般的には産業廃棄物として適正処理されます。販売店・施工店、撤去工事業者等へ処理方法まで確認してください。
2026年はリサイクル制度も動いている
2026年5月29日に「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立し、6月5日に公布されました。
太陽光パネルを撤去するときは、単に処分費の安さだけでなく、適正な撤去・運搬・再資源化まで確認することが大切です。
太陽光付き住宅は高く売れる?
太陽光発電が付いているから、住宅価格が全国一律で何%上がるという基準はありません。
不動産査定では住宅そのものの立地・築年数・状態などに加え、太陽光設備についても個別に確認される可能性があります。
査定を依頼するときは、単に「太陽光付き」と伝えるだけでなく、次の資料を用意しておくと設備状況を説明しやすくなります。
- 設置年
- メーカー・型番・容量
- FITの認定時期・残存期間
- 最近の発電量
- 売電実績
- メーカー保証・施工保証
- 点検・修理履歴
- ローン残債の有無
- PPA・リースの場合は契約内容
太陽光のローンが残っている場合
住宅売却時に太陽光のローンが残っている場合は、売却や設備移設を決める前に借入先へ確認してください。
確認したいのは次の内容です。
- 現在の残債
- 設備や住宅に担保・所有権等の条件がないか
- 売却時の返済方法
- 繰上返済の条件
- 移設する場合の契約上の制限
ローン商品によって条件が違うため、「売却時は必ずこの方法になる」と一律には判断できません。
PPA・リース中に引っ越す場合
初期費用0円のPPAやリースを利用している場合、自己所有の太陽光とは扱いが違います。
太陽光発電協会では、一般的なPPA・リースについて、契約期間中の設備所有者はサービス事業者と案内しています。
そのため住宅売却時は、まず契約書で次の項目を確認します。
- 住宅を売却する場合の契約承継
- 買主が契約を引き継げるか
- 中途解約できるか
- 違約金・精算金等の条件
- 設備の撤去条件
- 契約終了後の設備所有者
新居に新しく太陽光を設置する場合
旧宅の設備を残したまま売却し、新居には新しい太陽光を設置する方法もあります。
ただし、「移設より新設の方が必ず安い」「新FITだから必ず得」とは限りません。
2026年度の住宅用FIT
2026年度に新規認定を受ける住宅用太陽光10kW未満は、初期投資支援スキームの対象です。
| 期間 | 2026年度・10kW未満 |
|---|---|
| 1〜4年目 | 24円/kWh |
| 5〜10年目 | 8.3円/kWh |
FIT制度の仕組みについては、 FIT制度と住宅用太陽光の売電の仕組み で詳しく解説しています。
新居の補助金は住所ごとに確認
新居で利用できる太陽光・蓄電池の補助制度は、都道府県、市区町村、設備、申請時期などで変わります。
国・県・市に制度があっても、すべてを併用できるとは限りません。
補助制度の併用方法については、 太陽光・蓄電池の補助金を併用できるか確認する方法 で整理しています。
新居へ設置する場合の費用については、 太陽光発電の費用相場|2026年のkW単価・新築と既築 も参考にしてください。
引っ越しが決まったら確認する順番
- 現在の設備の所有者を確認する 自己所有なのか、PPA・リースなのかを契約書で確認します。
- 旧宅を売却するか、保有するか決める 住宅を残して賃貸等にする場合は、売却とは対応が変わります。
- FIT認定・売電契約を確認する 設備ID、認定時期、買取期間、現在の売電先を確認します。
- ローン・保証を確認する 残債やメーカー保証、施工保証の扱いを確認します。
- 売却・移設・撤去を比較する それぞれ必要な工事・手続・費用を確認します。
- 移設するなら新居の屋根を調べる 現在の設備を新居へ設置できるかを現地調査します。
- 新設も検討するなら同じ条件で比較する 移設費だけでなく、新居へ新しい設備を設置する場合の総額・容量も比較します。
引っ越しは期限が決まっていることが多いため、住宅の売買契約が進んでから太陽光の扱いに気付くより、売却査定を始める段階で確認しておく方が進めやすくなります。
引っ越しと太陽光発電についてよくある質問
家を売ると太陽光のFITも自動的に買主へ移りますか?
自動的に切り替わると考えない方が安全です。FIT認定を受けた発電事業を譲渡する場合は、事業者変更に関する変更認定手続を確認します。売電契約についても現在の契約先へ名義変更方法を確認してください。
太陽光パネルを新居へ持っていくことはできますか?
物理的に移設できる場合はあります。ただし、新居の屋根への設置可否、架台・パワコン等の適合、工事費、FITの変更手続、保証などを確認してから判断します。
移設すると今のFIT価格はなくなりますか?
資源エネルギー庁は、引っ越し・移設による接続契約の再締結について、それだけを理由に価格は変わらないと説明しています。ただし、設備内容など別の変更を同時に行う場合は扱いが変わることがあるため、変更内容ごとに確認が必要です。
太陽光付きの家は高く売れますか?
一律に何%高くなるとは判断できません。FIT残期間、設備の状態、保証、発電実績、住宅自体の条件などを不動産会社へ伝え、実際の査定で確認してください。
ローンが残っていても住宅を売却できますか?
ローン商品や契約条件によって対応が異なります。売却前に金融機関へ残債、繰上返済、設備や住宅に関する契約条件を確認してください。
PPAやリース中でも家を売れますか?
住宅の売却自体とは別に、太陽光サービスの契約処理が必要になる可能性があります。契約承継、中途解約、設備撤去などの条件をサービス事業者へ確認してください。
古い太陽光は引っ越しを機に撤去した方がいいですか?
年数だけでは決められません。まだ正常に発電している場合は継続利用できる可能性があります。設備状態と住宅売却時の扱いを確認してから撤去を判断してください。
撤去したパネルは中古で売れますか?
状態によってはリユースできる可能性があります。ただし、外観だけでなく発電性能や絶縁性能等の確認が必要です。撤去業者やリユース事業者へ確認してください。
新居で補助金を使って太陽光を設置できますか?
引っ越し先の地域や設備条件に、利用できる制度があれば対象になる可能性があります。ただし、補助金額や併用可否、契約・工事前申請の条件は制度ごとに異なります。
まとめ|引っ越し時は設備・契約・住宅をセットで確認
- 売却・移設・撤去のどれが有利かは住宅ごとに異なる
- 最初に太陽光設備の所有者を確認する
- PPA・リースの場合はサービス事業者との契約確認が必要
- 住宅売却時はFIT認定の事業者変更を確認する
- 売電契約の名義手続はFIT認定とは分けて確認する
- 移設だけを理由にFIT価格が変わるとはされていない
- メーカー保証は移設・売却前に個別確認する
- 太陽光付き住宅が全国一律で高く売れるとは決められない
- 撤去する場合はFIT廃止届と適正処理を確認する
- 補助金を受けた設備は処分前に交付条件も確認する
- 新居で新設する場合は現在のFIT・補助制度を改めて確認する
引っ越し時の太陽光は、「外すか、そのままにするか」だけで考えると判断しにくくなります。
設備の所有者、FIT、売電契約、ローン、保証、旧宅の売却、新居の屋根まで順番に整理すると、確認すべきことが見えてきます。
引っ越し予定。今の太陽光はどうしたらいい?
設置年、メーカー・型番、FIT、旧宅を売却するか、新居の地域などによって確認内容が変わります。移設・撤去を決める前に、現在の状況から整理できます。
引っ越しと太陽光について相談する新居で利用できる補助制度の確認も、条件に応じて行います。
公的機関・関係団体の確認先
本記事は2026年8月13日時点で確認できる資源エネルギー庁、経済産業省、環境省、太陽光発電協会(JPEA)、補助事業公式情報をもとに整理しています。FIT、補助制度、変更手続、廃棄制度等は変更される場合があるため、実際の売却・移設・撤去時には最新情報をご確認ください。
